03/28WED
LAB
建築を学んだ青年が
アプリサービスをリリース!?
IT起業の4つのポイント
2017年、仙台発の「街の話題が見つかるおでかけSNSアプリ/CITY」がリリースされました。このサービスの生みの親は、弱冠22歳、大学在学中にアプリのアイディアを思いつき、同時に株式会社Sirubeを起ち上げた山本 憲弘(やまもと・のりひろ)さん。震災からの復興過程の都市計画を学ぶために大阪から来た彼が、仙台でIT起業を実現したポイントとは?
アプリ「CITY」のサービスサイト” width=”1280″ height=”989″ class=”alignnone wp-image-987 size-full”>アプリ「CITY」のサービスサイト(http://www.sirube.city/)
Point1『フィールドワーク』
もともと都市や風景に興味が強く、復興・防災という観点から東北で建築や都市計画を学ぶことに強い興味を抱いた山本さん。2014年に東北大学工学部建築学科に入学しました。
が!
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山本:大学1年の時に復興大学というコンソーシアムに出会い、ここで復興に関するいろんなことを学び、多くの仲間と知り合ったのが、その後の進路を変えたのかもしれません。
復興大学のWebサイト(http://www.fukkou-daigaku.gakuto-sendai.jp/)
本人がそう語る通り、その後ここで出会った仲間とさまざまなプロジェクトに参加するようになります。
復興大学時代の山本さん
近い志の仲間に出会えて、かつすぐ実践できる。
もともと復興の“現場“が近いことを魅力に感じて大阪から仙台に来た山本さんは、大学で学ぶ客観的な研究だけでなく、フィールドワークによる“現場”のリアルなスピード感を前に、さまざまなアイディアが浮かぶようになりました。
Point2『0→1で、とりあえずつくってみる』
同じ頃、仙台高等専門学校の知人が、センサーを使ったロボット系の会社を起ち上げたことに刺激を受けた山本さん。そんな時に「起業家甲子園」に出る機会を得ます。山本さんにとって人生で初めてのビジネスコンテストだったにも関わらず、なんと東北地区予選を通過して本選まで勝ち進んだのです。
まだプロダクトを作った実績も無いうちに、狭き門を見事くぐり抜けて本選への出場権を獲得したコツとは?
起業家甲子園でプレゼンする山本さん
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山本:2日間のプログラムの内、1日目から2日目のブラッシュアップぶりがよかったのだと思います。
頭の中で悩んでいるよりもとりあえずゼロから作ってみて、そして速いスピードで改善する姿勢が評価されたのではないか、との自己評価。
ビジネスコンテストでも資金調達でも、起業の過程というのは実はプレゼンの連続。自分が成長していく様子を見せることも大事なのですね。
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山本:自分自身をプロダクト(作ったものの成果)で表現できるようになりたいと、当時から思っていました。
「こうしたい」、「こう思ってる」という体験ベースの言葉だけでなく、「このプロダクトはこのように生まれました」と、プロダクトを主語に自分の言葉で語ること。プレゼンの場でも周囲の人に対しても、理解してもらうためのポイントの一つかもしれません。
Point3『必要なことは、なんでも』
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山本:本来は開発はエンジニアに任せ、僕は資金調達に力を入れたほうがいいんでしょうが、僕はなかなかそうはできなくて。
起業したとはいえ、いや起業したからこそ、山本さんは今、自分の時間のほぼすべてを仕事のために使っています。
例えばアプリ開発も人任せにはしませんでした。「CITY」のプログラミング言語は、Swiftを使ったという山本さん。もともと建築学科の大学生であった彼にとってプログラミングは一からのスタートでしたが、やりたいという気持ちがあったので勉強は苦ではなかったそう。本を買って読んだり、ネットで調べてみたりしながら、iOSエンジニアの友人と一緒にSwiftを少しずつ覚えていきました。
CITYの画面イメージ
企画から開発、資金調達も。
やりたいことだけに固執せず、あくまでプロダクトに必要だと思ったらなんでもやる、そうしたしなやかさが山本さんにはあります。
Point4『人と比べるとき/比べないとき』
Twitterはマメにチェック。ベンチャー起業家やIT関連のプロダクトを開発している「いけてる人」のつぶやきを、“嫉妬“の気持ちで閲覧するのが重要とのこと。有意義な情報をチェックしてモチベーションを高めるのに役立てます。
一方で、人と比べ過ぎないことも大事。
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山本:大事なのは時期ですかね。勉強会やコミュニティに参加して周りと自分を比べることで良い意味で刺激や影響受ける時期と、自分の仕事やものづくりに没頭する時期とを、はっきり分けるようにしています。
「フィールドワーク☓ものづくり」で興味を実現
「起業するぞ、みたいな強い気持ちは、そんなになかったですね」と話す山本さん。
仙台でたくさんの人と会い、あれもいい、これもいい、あれもやりたい、これもやりたい、みたいなものが積み重なり、株式会社Sirubeの創業につながっていったような感覚だそうです。
株式会社Sirubeコーポレートサイト(http://sirube.co.jp/)
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山本:今後は2ちゃんねるのマップ版みたいな感じで使えるアプリにできないかと考えています。マップに位置情報とライブ動画を組み合わせ、街歩きしながらロケができたら楽しいかなと。
会社の創業はあくまでスタート。新しいアイディアはもう生まれています。
PROFILE
株式会社 Sirube 代表取締役。復興過程の都市計画を学ぶため東北大学に入学。地図型お出かけアプリ「CITY」をリリース後、以前から興味の深い「都市」にアイディアの軸足を置きながらも現在も新しいサービスを開発中。
取材場所:カフェ モーツァルト・フィガロ
Photo:小林啓樹(OPEN TOWN)
Words:板元義和(シュープレス)