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MEET UP
環境と感動をつなげよう
ーコードを一行も
書かずに
プログラミングー
「SENDAI INC.」では2019年2月12日に自主イベントを初開催しました!
ITを身近に感じてもらい、新たなサーピスやアートを生み出す体験をしてもらう学生の方向けハッカソンイベントです。
今回のテーマは「環境と感動をつなげよう ーコードを一行も書かずにプログラミングー」。
リアルタイムで温度、湿度、二酸化炭素、光量、加速度など様々なデータを “スマホアプリだけで” 簡単に取得できるウェアラブルセンサーデバイス “synapseWear”と、コード不要のプロトタイピング環境「Max」を用い、インタラクティブな作品や製品のプロトタイプ制作に学生がチャレンジしました。
参加したのは、プログラミングが得意な学生と、プログラミングは分からないがIoTサービスを考えたいという学生。それぞれが組んで、4〜5名の3チームとなります。
テーマは、「環境=仙台」と「感動=家族を感じる」
今回のテーマの目的は、離れた「環境」にいる家族の存在を感じて「感動」を作るサービスを生み出すこと。リラックスや緊張などの生体反応や、光がついたり消えたりといった住居環境の変化で、家族の存在を感じて感情を表現するアートやサービスを考えます。
「アジャイル型」の開発でのワークショップ
今回のハッカソンの特徴は、「アジャイル型」開発でのワークショップ。「アジャイル」というのはチーム一丸となり、短い期間で『試作・テスト・改善』を繰り返しながら、最高の製品やサービスを生み出すこと。
下記の図のように、約4時間で4回ものプロトタイピング(試作)と改善を繰り返しています。
「プログラミング=アルファベットの言語をひたすら打ち込む作業」というイメージの方が多いではないでしょうか。そうではなく、上記写真のPC画面のように、スイッチやつまみのような見た目の開発環境で、作りたい仕組みを組み立てることができます。
可視化するデバイスや、設定をしておくことで、プログラミング言語がわからなくても、同じように開発をすることができます。
ゲストファシリテーターとして登場してくれたのは、art and program, Inc. 代表取締役で、「synapseWear」の開発元の代表者であるアレキサンダーさん。 また、株式会社ラナエクストラクティブのアートディレクター・秋山 洋(あきやま・ひろし)さん、 電子音楽家・メディアアーティストとしても活動中の魚住 勇太(うおずみ・ゆうた)さんが講師を勤めました。
(左から、アレキサンダーさん、秋山さん)
完成した3つのプロトタイプ
試作を繰り返し、3つのプロトタイプが完成しました。
採点基準は下記の通り。
1.提案する作品またはサービスがもたらす「感動」のクオリティ
2.デモ/プレゼンテーションで感じられる、提案の「リアルさ」(プロトタイプはリアルさを感じることが大切)
3.独自性。ユニークさ(仙台ならでは、お題としてのsynapseWearのポテンシャルを発掘したか)
TEAM_A「働いている家族を音と光で繋げよう」
【対象者】親が仙台、子どもが東京にいる。
【テーマ】仙台の光のページェントと、東京表参道でのイルミネーションを通じて、お互いの光と音を感じられる仕組み。
【作品について】ただ見るだけのイルミネーションではなく、体験型イルミネーション。2本の木を使って、片方が自分、片方が相手のモーションを感じることができます。
親子の絆を感じ、安否確認だけになっていた関係をイルミネーションで体験することで、感動のクオリティを上げたかったということでした。
家族の様子も感じることができる
TEAM_B「親と東北大生」
【対象者】仙台に住む東北大学の学生と他県に住む親。
【テーマ】親と学生の運動量で室内の快適さが変わる。
【作品について】完全にアートに振り切ったと言い切った作品。学生の運動量が減ると、家族のいる部屋の明るさが暗くなり、気温が低くなり、音も暗く激しくなっていきます。自分の怠惰は、離れた家族にとっても悪影響となることで、それぞれ大切な存在だと気づくきっかけになります。
手前にいる親は病気になり咳をしてしまう
TEAM_C「KIKKAKE(キッカケ)」
【対象者】仙台に住んでいる祖母とアメリカに住む孫
【テーマ】声をかけるタイミングの最適化を測る作品。
【作品について】部屋の明るさに比例して、表示される画像と音楽が大きくなります。また、活動音により、画像のウェーブが細かくなります。図形により、部屋の明るさが分かるなど、会話のきっかけを作るのが狙いです。モニターの画像と音で視覚的・聴覚的に安否が分かります。
優勝はアートで振り切った表現のユニークな作品
ハッカソン参加が初めての学生さんが多く、最初は緊張した様子も。
「仙台と家族」という身近なテーマを考えることで、具体的なアイデアがたくさん出ていました。
今回のイベントで使用されたのは、ウェアラブルセンサーユニット 「synapseWear」 とフルデジタルポータブルスピーカー「OVO」という2つのデバイス。それぞれの特徴についてご紹介します。
ウェアラブルセンサーユニット 「synapseWear」
“synapseWear”はリアルタイムで温度、湿度、二酸化炭素、光量、加速度など様々なデータを “スマホアプリだけで” 簡単に取得できます。「synapseWear」は親指ほどの大きさ、小型で軽量。このサイズで簡単にOSC(OpenSound Control)でデータが送れたり、サーバにデータをアップすることができます。自身で各部品を買って、作ってみようとしてもこのサイズまで小さくはできないそう。
「ファームウェアも公開中なので、アプリの音やビジュアルも違う値で表示することもできます。初心者向けというよりも技術寄りになるので、プログラミングを勉強する人の学習にもなるのではないでしょうか。
オープンソースで作られており、コードも公開されているので、今後どこかでさらに発展すれば開発者への貢献にもなっていくのでは。」とアレキサンダーさんは話してくれました。
フルデジタルポータブルスピーカー「OVO」
スピーカは仙台市にある株式会社JDSoundが開発した「OVO(オヴォ)」をお借りいたしました。「映画館の感動を完全再現する」というキャッチコピーのポータブルスピーカー。PCよりも小さく、折り畳み傘くらいの大きさ。
USBでつなぐので充電やペアリングが必要なく、使いたいPCやスマートフォンにすぐアクセスできます。
この「OVO」を開発した株式会社JDSoundにも以前、インタビューをしていますので、興味のある方はご覧ください。
株式会社JDSound宮崎さんへのインタビュー
「環境を測るために購入している人が多かったが、このようにクリエイティブで使ってもらえるのは嬉しい。
こういう風に使って欲しいと制限をかけるのではなく、予想外の方向に進んでほしい。そこで、新しい気づきやコミュニティーができ、さらに発展していくといい。」とアレキサンダーさんは話してくださいました。
PROFILE
art and program, Inc. 代表取締役 / ウェアラブルセンサーデバイス “synapseWear” 開発元代表者
enspace
Photo:小林啓樹(OPEN TOWN)
Words:笠松宏子