04/23TUE

LAB

テクノロジーの力で
まちにワクワクを!
仙台市と楽天イーグルスの
コラボレーションがスタート!

仙台をフィールドに、さまざまな産業とITのコラボレーションであるX-TECH(クロステック)による新事業の創出、そしてそれをリードする人材の育成・交流によってテクノロジーの力で次々とイノベーションが生み出される、X-TECHイノベーション都市を目指している仙台市。

仙台市と楽天イーグルスによる「エンターテックアイデアソン」会場

いよいよ、仙台市と楽天イーグルスによる「エンターテックアイデアソン」が走り出します

約60人が参加したアイデアソン説明会

最近では、エンターテインメントやスポーツでも、ITを活用した取り組みが数多く実施されており、ファンを魅了していることをご存じでしょうか。

今回、仙台市では、まちのシンボルのひとつでもある「楽天生命パーク宮城」と「仙台のまち」を舞台に、新たな試みに挑戦します。それが、楽天イーグルスとのコラボレーションで、スマートスタジアムからまちに広がる「エンターテックアイデアソン」。選ばれたアイデアは、実際にスタジアムや仙台市街での実証実験を進め、新たなビジネスモデルとして走らせることを目指しています。

そんなワクワクに充ちあふれた「エンターテックアイデアソン」の説明会が、1月12日、仙台市内で行われ、この企画に関心を持つIT企業の人たちや学生など、約60名が参加しました。

「エンターテックアイデアソン」会場会場には、IT企業の担当者をはじめ、多くの人が駆け付けました

アイデアが膨らむオープンイノベーション事例の紹介

イベントの実施に向けて、4人のスピーカーが壇上に立ち、これまでのオープンイノベーション事例について紹介するトークが行われました。

左から新田剛史さんと柴田裕さん

まず登壇したのは、株式会社Showcase Gigの新田剛史(にった・たけふみ)さんとJR東日本スタートアップ株式会社の柴田裕(しばた・ゆたか)さん。
新田さんは生まれも育ちも仙台、そして柴田さんは秋田出身で大学が東北大学と、おふたりとも仙台にはゆかりのある人物です。

株式会社Showcase Gig は日本で初めてモバイルオーダーを開発したスタートアップ企業。一方のJR東日本スタートアップ株式会社は、JR東日本の持つアセットの価値を最大限に引き出すためにスタートアップとの事業マッチングやスタートアップへの出資などを行っています。
株式会社Showcase Gigは、JR東日本スタートアップ株式会社が開催したスタートアップとのビジネス共創プログラムで採択され、今後はJR東日本の駅ナカや駅ビルの中でのモバイルオーダーを実施する予定となっています。

株式会社Showcase-Gigの新田剛史さん
株式会社Showcase Gigの新田剛史さん

新田さんは「2012年にモバイルオーダーを作ったときに、JRさんで使えるようにしたいという思いはあったのですが、どこからアプローチすればいいのか分からなくて(笑)。2018年にJR東日本スタートアップ株式会社ができて、やっと門戸が開いたという感じです。」と話します。

柴田さんは「駅の売店はいつも行列ができていて、お客様に迷惑をかけてしまうこともしばしば。モバイルオーダーであれば、その行列も解消できるし、無人化できるのであれば今後深刻になる人手不足の解消にもなると思いました。」と、新田さんのリソースを評価します。

実際にモバイルオーダーはJR大宮駅の仮設店舗でのデモを行い、20191月から本格導入することになっています。

ITは、これからの「まち」に何ができる?

JR東日本スタートアップ株式会社の柴田裕さん
JR東日本スタートアップ株式会社の柴田裕さん

柴田さんは「これからの人口減少を見据えると、コンパクトシティ化、スマートシティ化を進めるなど、行政もスマートにしていかないと立ち行かなくなる時代になってしまう。日本で一番人口減少率の高い東北で、これからの都市機能をどうやって作っていくのか。世界の先行事例にして、それを世界に売り出してもいいのでは。」と提案。
新田さんも「僕が仙台出身ということもあって、弊社は開発拠点を仙台に構えています。ここから、いろいろなプロジェクトを走らせていきたい。」と笑顔を見せました。

アイデアソンのメンターが参加を後押し

続いて登壇したのは、SAP Japanの吉越輝信(よしこし・てるのぶ)さん。吉越さんは、2月2日、3日に行われるエンターテックアイデアソンでのメンターも務めます。

エヴァンジェリスト&コミュニティマネージャーの吉越輝信さん
SAP Japanエヴァンジェリスト&コミュニティマネージャーの吉越輝信さん

ドイツに本社を持つSAP(エスエーピー)はITによってさまざまな業界とコラボレートしている企業で、スポーツもそのうちのひとつ。スポーツにITを取り入れ、球団、選手、そして何よりファンがワクワクするような取り組みを行っているのです。その一例が、NBANBAは人気もチケットの価格も高く、会場に足を運ぶファンの年齢層がどうしても高くなってしまうため、若い世代のファンの獲得が課題となっていました。

吉越さんは「そこでSAPではNBAのスタッツを全世界に無料で提供し、ミレニアム世代とNBAをデジタルでつなぐことにしたのです。すると、NBAの観戦客の平均年齢が10歳ほど低くなりました」と話します。

そのほかにも「中国では、道路の渋滞解消のため、バス1万台、タクシー1万台にGPSを取り付けてリアルタイムで走行データを取得し、信号の青の時間をコントロールしています。」と、SAPの事例を紹介してくれました。そして、「そもそもイノベーションは非常識なもの。二番煎じではそれ以上のものは生まれない。思い切った発想をしてほしいです。デジタルテクノロジーができることはまだまだたくさんあるのです」と、参加者の背中を押していました。

ファンは、“熱狂を生み出す仲間”という思い

楽天野球団事業本部長の大石幸潔さん
楽天野球団事業本部長の大石幸潔さん

最後は、楽天野球団の大石幸潔(おおいし・ともゆき)さんが登場。これまで楽天野球団で行ってきた顔認証システムやARを使用したバッティングゲームなど、スタジアムを訪れるファンをワクワクさせてきた事例を紹介するとともに、2017年から導入しているダイナミックプライシングについて解説。

大石さんは「ファンは、“熱狂を生み出す仲間”という思いから、より多くの方に観戦の機会を創出したいと思ったのがきっかけです。スタジアムの稼働率を上げるのにはダイナミックプライシングが必要で、そのためにテクノロジーのバックグラウンド整備も必要になりました」と話しました。

仙台市から広がっていくこと、変わっていくこと

説明会の後、来場者の方にインタビューを行いました。オープンイノベーションでまちと楽天スタジアムがどんな風に変わり、ワクワクが広がっていくことを実感した感想や仙台市の可能性をどう感じたのかインタビューをしました。

まちを盛り上げる、ワクワクする出来事だと思った

まずは、株式会社UPTORY 代表取締役 歌川貴之(うたがわ・たかゆき)さんにお話をお伺いしました。本社は福島県ですが、社員全員リモートワークを導入し、仙台に住みながら仕事を行なっているそうです。

株式会社UPTORY代表取締役歌川貴之さん

僕自身、WEBシステムの開発やモバイルアプリの開発を行うIT企業を経営していて、これまでもさまざまなアイデアソンに参加してきました。今回の仙台市と楽天さんの本格コラボは「まちを盛り上げていくんだ!」という気合が感じられて、本当にワクワクする出来事だと思っています。

仙台の中でも、例えばコンビニだけでなく商店街の中で楽天PAYなどの決済ができるようになったりすると、もっと便利で楽しいなと思います。今日はいろいろ刺激をもらったので、アイデアソンに向けていろいろ考えていきたいですね。

ワクワクするアイデアで仙台や東北を盛り上げたい

次に「OFF TOKYO」東京にこだわらない働き方をコンセプトに、東京だけはなく各エリアで活躍する人を増やすための事業を展開している、シビレ株式会社 COO 鈴木翠さん。

シビレ株式会社COO鈴木翠さん

説明会に参加するまでは具体的なイメージがつかめずにいましたが、今日参加したことでなんとなくのアイデアが浮かんできました。

仙台、そして東北は楽天という野球チームがあってこそだと思うので、今回のコラボレーションでまちがどんどん盛り上がっていけばいいなと思います。

「東京」と「仙台」、2つの会場で説明会を開催

1/10(木)には東京でも説明会を開催。会場の「TECHPLAY SHIBUYA」にはたくさんの参加者が集い、注目度の高いイベントでした。

テクノロジーが、スポーツや地域にできることは無限大で、すべてはアイデア次第。
この日のイベントを通じて、22日、3日のアイデアソンでどんなアイデアが出てきたのでしょうか。今後公開のイベントレポートでもご紹介しますので、お楽しみにしてください。