12/27WED

PEOPLE

ちょうどいい街・仙台。
UIJターン者が語る首都圏/地方の暮らし

これまで多くのUIJターン経験者にインタビューをしてきた「SENDAI INC.」。その中で、みなさんが口を揃えて言うのは「仙台はちょうどいい街」だということ。
実際に、仙台市が行った令和5年度『仙台市市民意識調査』でも「仙台は住みやすい」と感じている人は全体の9割を超えました。

 令和5年度「仙台市市民意識調査」の結果によると、住みやすいと回答した方が90%以上、中でもこんなところが評価されています(通学・通勤・買い物など生活が便利、自然環境に恵まれている、治安がいい)

 

今回は、移住経験者が語る仙台の「ちょうどよさ」を、グラフなどを用いてわかりやすく見える化。お話を伺ったのは、天野 祐介(あまの・ゆうすけ)さんと平野 雄一(ひらの・ゆういち)さん。なんとお2人とも仙台には縁もゆかりもなかったそう。なぜ移住を? なぜ仙台に? 「ちょうどいい」仙台を紐解きます。

SENDAI SIDEでは、仙台に移住したきっかけと仙台での暮らしについてお伺いします。
はじめに、お2人のプロフィールを教えてください。

  • 平野さん:スマートフォンのアプリを開発するフリーランスのエンジニアです。以前は東京の会社に勤めていました。東京から仙台にJターンして4年間住んでいましたが、現在は地元の岩手に住んでいます。

  • 天野さん:サイボウズ株式会社でアジャイルコーチをしていて、開発チームのコーチングを行う業務に携わっています。週3日はサイボウズで働き、残りの2日は個人事業主としてサイボウズの業務とは別の仕事をしています。コロナ禍のタイミングで仙台へ移住し、現在2年が経ちました。

 

お2人とも、移住前に仙台とは関わりが無かったと伺いました。移住のきっかけは何だったのでしょうか?

  • 平野さん:当初、2020年に東京オリンピックが開催される予定でしたよね。その時に東京にいたくなかったんです(笑)。仕事を辞めてフリーランスになったこともあり、引っ越そうと思いました。札幌や福岡、金沢も候補にありましたが、東京に距離が近い仙台を選びました。1年で東京に戻るつもりだったので、物件も下見せず勢いで決めたのですが、コロナ禍の影響もあり結果的に4年間住みました。

  • 天野さん:私は山形の大学を卒業して、東京で就職しました。結婚してからは、都内の郊外のアパートに住んでいました。東京でマンションを購入しようと思ったタイミングで、コロナ禍が始まったんです。会社がフルリモート勤務に移行し、東京に住む必要性がなくなったので、この機会に東京を離れ、地方へ移住しようと決意しました。妻が山形出身で、私も山形の大学を出ているので、地元にも近くて東京からのアクセスも良い仙台を選びました。自分たちの条件に合った中古マンションを探すところから始めて、リフォームが完了するまで1年くらいかかりました。

 平野さん 2019年:8月に会社を退職。仙台へ移住。フリーランスとして活動を開始。 2023年:仙台から実家のある岩手に移住 天野さん 2018年:マンション購入検討 2020年:フルリモート移行。仙台への移住決定。東京に住みながらリフォーム 2021年:仙台に移住

 

お2人とも東京から仙台に移住されたということですが、移住前と移住後で生活に変化はありましたか?

  • 平野さん:東京に住んでいた時は移動に時間がかかり、映画を見に行くだけで半日かかることもありました。でも、仙台では仙台駅の近くに住んでいたので、だいたい徒歩圏内で用事が済むようになりました。趣味のカレーの食べ歩きも楽しめたので、オフの日の効率が上がりました。ちょうど私が住んでいた時期は仙台にカレー屋が増えていた時期で、4年かけてほぼ全ての店を回りました。
    仕事は元々リモートだったので変化はありませんでしたが、移動時間の分を仕事に充てることができるようになりました。そのせいで働きすぎてしまいました(笑)。

 平野さんのオンオフ仕事場風景やカレーの写真が載っている

  • 天野さん:私は通勤で体力が消耗しなくなりましたね。以前は通勤ラッシュを避けるために始発待ちをして、片道1時間半くらいかけて通っていました。それに東京の電車内は仙台とは比べ物にならないほど混雑しているので、仕事前にヘトヘトになっていました。今は自転車通勤をしているので、ストレスはほとんどありません。
    オフの変化でいうと、車で出かけるのが楽しくなりました。仙台は中心部から車で15分も走れば道路の流れがスムーズになりますし、景勝地や自然が豊かなところが近くにあるのも良いです。
    他にも、最近は犬を飼い始めました。ペットと生活するにも仙台のほうが良いですね。

 天野さんの仕事場の風景や、自然風景、黒い飼い犬とグラスのクラフトビール

 

お2人とも住む場所と働き方を変えることによってプライベートに使える時間がだいぶ増えたんですね。暮らしの変化はいかがでしょうか。例えば、東京は物価も高いので、家賃も高かったと思いますが。

  • 平野さん:私の場合、家賃は東京の時から1万円ほど上げました。東京の家は狭かったので、広い部屋に住みたかったんです。それに、ずっと家で仕事をしなければならないので、仕事のパフォーマンスを上げるためには、住み心地の良い環境を整える必要があると思いました。

  • 天野さん:アパートの家賃と駐車場代だった支払いが、今はマンションのローン返済と管理費・共益費になっています。住居に関する月々の支出は東京に住んでいた時よりも2万円ほど増えましたが、マンションの購入費を東京の相場の半分くらいに抑えられたので、トータルの負担はだいぶ軽減されましたね。それに、以前住んでいたアパートよりも約1.5倍広くなって、機能的にも良くなったので満足しています。

 

移住前と後での1日の過ごし方について教えてください。何か変わりましたか?

  • 平野さん:移住してからは朝型に変えて、起きたらすぐに仕事を始めるようになりました。IT系の企業はだいたい10時から仕事が始まるので、関係者の方々が仕事を始める前に大方の仕事を片付けておくのが現在のルーティンです。その時の仕事の状況にもよりますが、14時くらいに仕事を終えて、あとはプライベートの時間にしています。

  平野さんのある一日の過ごし方 (移住前) 8:00 起床 9:00-18:00 仕事 18:30 食事・帰宅 25:00 就寝  (移住後) 5:00 起床・仕事 14:00 終了 14:00-18:00 買い物・映画などお出かけ 18:00-21:00 趣味や勉強 21:00 就寝

  • 天野さん:移住してから圧倒的に自分の時間が増えました。まず通勤時間が減ったので、コーヒーを飲む時間ができました。コロナ禍でコーヒーにハマって、今では毎朝豆を挽いて飲んでいます。出勤時は電車ではなく、自転車を利用しています。仕事終わりにはサウナに行ったり、クラフトビールを飲みに行くこともあります。

 天野さんのある一日の過ごし方  (移住前) 6:00 起床・読書や語学 8:00-9:30 通勤 9:30-18:30 仕事 19:30 帰宅 19:30-22:00 食事・自由時間 22:00 就寝  (移住後) 7:00 起床・読書や語学 8:30-9:00 コーヒータイム 9:30- 仕事 12:00-12:30 出勤(自転車) 13:00-18:00 仕事 18:00 サウナ・ビール 22:00 帰宅 23:00 就寝

 

プライベートの時間が増えて、仕事以外の趣味の時間を楽しんでいる様子が伝わりました。仙台に移住して良かったことはどんなことでしょうか。

  • 平野さん:1日のうちで使える時間が圧倒的に増えたのが本当に良かったと思っています。仕事面では、別の職種の人と関わる機会が多くなりました。スタートアップの社長など、様々な職種の方に出会うことで、自分の仕事の価値を改めて考えるきっかけになりました。天野さんとも仙台で知り合ったんですよね。

  • 天野さん:そうなんです。もし、平野さんと私が渋谷で働いていたら、自分の職種のコミュニティに入ってしまうので、出会うことはなかったと思います。でも、仙台はそもそもIT関係者の絶対数が少ないので、1つのコミュニティにいろいろな分野の人が集まります。
    あと、ご飯の値段が高すぎないのにおいしいところが多いです(笑)。新鮮でおいしいものが食べられますし、他の地方都市に比べてお店の数も多くて並ぶことも少ないです。それに時間の流れやお店のサービスにゆとりが感じられますよね。それが心地良いです。

 

移住前まで仙台は馴染みのない街だったとのことでしたが、移住後は仙台ライフをエンジョイしている様子がわかりました!移住によって時間の余裕ができたことや、お2人にとって仙台がちょうどいい規模の街であったことが、仕事だけでなくプライベートの充実にもつながったようです。

ここからはお仕事について深掘りしていきたいのですが、キャリアや技術の部分で変化はありましたか?

  • 平野さん:仙台は東京と比べると、キャリアを深く追求しづらいところがあります。仙台にいるモバイルアプリ開発のエンジニアは企業勤めの人を入れても数少ないです。東京とは規模も情報量もスピードも違います。ただ、それをカバーできるスキルやネットワークがあればなんとかなりますし、物理的な距離にあまり影響されないのがIT系の仕事の良い面でもありますよね。

  • 天野さん:確かに、東京に比べると、成長の機会や刺激がやや少ないですね。仙台のITの勉強会に行っても東京に比べて参加者が少ないので、技術の幅が広がりにくいところに問題意識を持っています。
    ただ、仙台に拠点を持つIT企業が増えてきて、その状況も変わってきた印象を持っています。

 

今後、IT関係の企業誘致や移住者が増えていけば、さらにキャリアが広がっていく可能性も感じられますね。仕事をする環境として、仙台はいかがでしょうか。

  • 天野さん:リモートワーカーにとって働く環境はとても重要です。私は広瀬川の近くに住んでいるので、昼休みに川沿いを散歩してリフレッシュしています。また、コワーキングスペースを契約しているので、気分によって働く場所を変えています。自宅、オフィス、コワーキングスペースがそれぞれアクセスしやすい場所にあるのも仙台ならではだと思います。

  • 平野さん:ちょうどいい距離に集中しているところが仙台の良い点ですよね。私は今岩手に住んでいますが、100%家で仕事をしています。最寄りのコワーキングスペースまで20kmくらい離れているので、なかなか行く気になれず……。仙台のコワーキングスペースに通っていた頃が懐かしいです。

  • 天野さん:それに、東京への出張が月2回あるのですが、新幹線に乗っている時間は東京に住んでいた頃の通勤時間と同じ90分なんです(笑)。出張というより通勤の感覚が強いです。車内は静かで読書や仕事に集中できますし、都内に住んでいた頃よりも快適に移動できています。

 

仙台市内での距離も、東京への距離も、ちょうどいい感じなんですね!それは東京に住んだことがないとなかなか気づけない視点ですね。ちなみに、移住を成功させるためのポイントはありますか?知らない土地への移住に不安な方もいらっしゃるので、ぜひアドバイスをお願いします。

  • 平野さん:同じところにずっといると気持ちが停滞してしまうので、それを避けるためにも住む場所を変えるのは良いことだと思っています。大変なこともありますが、自分の成長に大事なことだと思っています。生活の変化を楽しめるようになったら、どこにでも住めるようになりますよ。
    仙台は移住の難易度自体は低いのですが、事前の情報収集には苦労しました。仙台市が発行している「仙台くらしのガイド」は役に立つので、事前に確認しておくと良いと思いますよ。

  • 天野さん:私も情報収集には苦労しました。なので「S-Style(仙台のタウン情報誌)」をAmazonで購入して読んだこともあります。物件の内覧時に初めて、地下鉄が2路線あることを知りました(笑)。
    私の場合は家の購入と移住を同時に行ったので、失敗したくないという思いが強かったです。そこで意識したのは、「自分にとって譲れないものや必要なものを明確にして、優先順位をつける」ことでした。私の場合はリモートワークができることが絶対条件だったので、リモートワークに適した地域を探しました。
    移住によって、以前よりも暮らしが良くなる点は多いですが、逆に不便になる点も少なからずあります。総合的に考えて、以前よりも自分の価値観に合った生活ができるように考えると良いと思います。

 

今回は移住者の視点で仙台の魅力を語っていただき、取材した我々も改めて仙台の暮らしやすさを再認識することができました。

一方で、他の地域にも良さがあり、自分の価値観や現在のステージに適した環境を選ぶことも大切です。そして、働き方の選択肢を増やすためには、自分のスキルや価値を高めることが重要だと気づきました。これから移住を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

IT都市・仙台を目指し様々な取り組みを行う仙台市では、全国IT関連企業の事業所単位の売上も2016年と比較して向上しています。さらに住みやすく、働きやすい都市への進化が楽しみですね。
 全国の情報サービス業・インターネット付随サービス業の事業所単位の売上げは、2020年で宮城県が7位まで上昇しました。

 

Words:笠松宏子

PROFILE

天野 祐介(あまの・ゆうすけ)

サイボウズ株式会社 開発本部 部長 シニアスクラムマスター 2009年新卒入社後、エンジニアとしてkintoneの開発に参加。チームリーダー経験を経て、2016年にはスクラムマスターとしてサイボウズにスクラムを持ち込み、定着させる。現在は週3日勤務でスクラムマスターのマネージャーとして活動しながら、個人事業主のアジャイルコーチとしてコミュニティ活動にも注力。スクラムフェス仙台実行委員、すくすくスクラム仙台運営。

平野 雄一(ひらの・ゆういち)

スマートフォンアプリ開発をメインとしたフリーランスのソフトウェアエンジニア。退職に伴いフリーランスになったこともあって東京にいる必要があまりなくなったため、2019年8月に東京から仙台に引っ越し。 私にとって仙台に特に思い入れはなく、いくつかあった引っ越し先候補の中から「東京にアクセスしやすい」「引っ越し先候補の中では生活が楽そう」という理由で仙台を選びました。2023年9月に仙台を出て、地元の岩手県北上市に引っ越し。趣味はカレー、ネパール料理、南アジア系食材店巡り。