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PEOPLE

「居酒屋INC. Vol.5」潜入!コミュニティ勉強会!

仙台・宮城、ひいては東北のITを盛り上げていきたい!という志のもと集まったIT関連企業の団体、「タガヤス」。2007年9月に発足し、現在まで定期的にイベントを開催しています。2023年11月17日、株式会社ねこまた主催による勉強会が行われました。今回は居酒屋INC.初のイベント潜入企画として、参加者のリアルな感想をまじえつつ、勉強会の様子をレポート。また記事の後半では、タガヤスの活動意義や「仙台だからこそ」なコミュニティ事情についてなど、タガヤスのコアメンバーたちによるぶっちゃけトークをお届けします。

 萩野輝さん、齋藤昌秀さん、澤田周さんのお写真左から、萩野輝さん(株式会社オプト)、齋藤昌秀さん(株式会社ねこまた)、澤田周さん(株式会社インフィニットループ)

 
株式会社インフィニットループ、株式会社オプト、株式会社テセラクト、株式会社ねこまたの4社が共同で運営するITコミュニティ「タガヤス」。3ヶ月に1度、定期的に勉強会を開催しています。主催する企業は持ち回りで、2023年11月はねこまたが担当。同社オフィスを会場とし、Zoomウェビナーも利用するハイブリッド開催でした。コロナ禍以降、数年ぶりのオフライン開催です。

 
ねこまたは、主にWebシステムやスマートフォンアプリの開発などを行う仙台のIT企業。勉強会では社員が各々考えたテーマに沿って、「何をやったか」「どんな結果が得られたか」などを発表します。

俺が作れるさいきょうAIアシストシステム
(高橋洋介さん)

登壇した高橋洋介さん

 
最初の登壇者は、高橋洋介さん。登壇テーマは、「俺が作れるさいきょうAIアシストシステム」です。
Gatebox社が開発・販売を行うキャラクター召喚装置「Gatebox」に着想を得、さまざまな生成AIツールを組み合わせてAIアシストシステムを作成しました。

 形は神棚がモチーフになっている。階段の部分にねこまたさんがいる装置

声をかけると神棚から出てきて返事をしてくれる「ねこまたさん」

発表終了後、高橋さんにお話を伺いました。

  • SENDAI INC.:なぜ「ねこまたさん」を作ろうと思ったのですか?

  • 高橋さん:Gateboxは非常に高価で、そう簡単には手が届きません。それならスペックダウンして、自分で作ってみようと考えました。

 PCモニターに映し出されるキャラクター召喚装置「Gatebox」

キャラクターと一緒に暮らすために開発されたキャラクター召喚装置「Gatebox」

Slackのチャットから社内BGMを流せるようにしてみた
(阿部倫也さん、伊藤大起さん、小山琉蒔さん)

左から阿部倫也さん、伊藤大起さん、小山琉蒔さんが登壇している

 
2番目に登壇したのは、23年春に入社したばかりの阿部倫也さん、伊藤大起さん、小山琉蒔さんの3人組。

 
なんと、検証が思ったように進まず、発表当日までに間に合いませんでした。

 
この結果、3人が発表したのはSlackのチャットからBGMを流す方法ではなく、「コミュニケーションの重要性」に。

 
思っていた発表とは別物になりましたが、社会人としての新たな気づきを得ることができました。また「こんな発表はなかなか聞けない」と、参加者からも好意的な意見が聞かれました。

 手前から伊藤大起さん、阿部倫也さん、小山琉蒔さんが並んで登壇している

発表後、緊張が解れて表情も柔らかになる3人

  • SENDAI INC.:初めて登壇した経験を踏まえ、学生にアドバイスするなら?

  • 阿部さん:学生のうちからもっと勉強会に参加しておけば良かったです。将来何をしたいかも明確になるし、発表して評価されればモチベーションになります。

  • 小山さん:先輩や上司としっかり関係性を作って、気軽に質問できるようにしておくことですね。

  • SENDAI INC.:今後、このようなコミュニティとどのように関わっていきたいですか。

  • 伊藤さん:今は交流よりも勉強がメイン。自分の知らないことをどんどん知り、知識を吸収したいです。

社内備品の貸し出し もっと手軽にしてみたハナシ
(鈴木裕太さん、竹澤慎悟さん)

Tシャツを着ている方が鈴木裕太さん、座っている方が竹澤慎悟さん

 
ラストは鈴木裕太さんと、竹澤慎悟さんによる社内備品の貸し出しツール制作のお話です。

 
ねこまたでは、社内備品の管理に課題を感じていました。
そこで2人は備品管理専用アプリを制作し、スマホでQRコードを読み取るだけで備品の貸し出し・返却を申請できるようにしました。

 
制作過程においては、スマートフォンのアプリケーション開発に特化したモバイルフレームワーク「Flutter」を使用。Flutterは2018年にリリースされた比較的新しい技術で、プログラマー界隈ではとても人気があるそうです。

 
「せっかくアプリを作るなら、新しい技術を使ってみよう」という発想から、今回の発表に至りました。

 深緑のカーディガンを着ている竹澤さん

入社2年目の竹澤さん

  • SENDAI INC. :昨年に引き続き、2年連続の登壇と伺いました。前回と比べての感想は?

  • 竹澤さん:昨年よりは喋れましたが、やはりまだ緊張しますね。ですが、多少の余裕は生まれたと思います。定期的に知識を棚卸しすることが自信や余裕につながると、再認識できました。

  • SENDAI INC.:鈴木さんは、登壇してみての感想はいかがですか。

 水色のTシャツを着いている鈴木さん

Flutterを推している鈴木さん

  • 鈴木さん:Flutterは非常に便利な技術なのですが、仙台ではまだそこまで浸透していません。今回は、Flutterの魅力を伝える良い機会になったと感じています。

参加者の感想

 ホワイトボードにタガヤスのロゴが映っている

 
今回はオンライン・オフライン合わせて約15名が参加。そのうちオフラインで参加したお2人に、感想を聞きました。

SENDAI SIDEでは、勉強会後の懇親会会場へ移動。タガヤスのコアメンバーに、じっくり仙台のコミュニティ事情について語ってもらいます!

 グラスのビールで乾杯をする萩野輝さん、齋藤昌秀さん、澤田周さん

  • SENDAI INC.:タガヤス発足のきっかけを教えてください。

  • 澤田さん:地方の技術者が幸せに暮らすために必要なことの1つが、勉強会だと思っています。でも仙台には、そういう場があまりないんですよね。

  • SENDAI INC.:そういう場がないことも流出する一つの要因になっているんですかね?

  • 澤田さん:そういう面もあるでしょうね。どの企業も採用面では多かれ少なかれ課題を抱えているはずです。では、その課題を前に企業ができることは何? と考えました。その1つの答えが、「仙台の会社では、こんなにおもしろい人たちがプロとして働いてる」ことを見せることかなと。

 腕を組み語る澤田さん

  • 澤田さん:1社でやってもいいけれど、それだと続かないですよね。だから、同じ考えを持つ4社で立ち上げました。主催を持ち回りにすることで、継続しやすくなりますから。今回ねこまたさんがやってくれたから、次回はオプトさん、次はうち……と続く。今までずっと続けてきたんだから、途切れさせられないですよね?一過性の取組みで終わらせないためには、継続する仕組みを作るしかない。結果として6年続けてこられたので、正解だったと思います。

  • SENDAI INC. :主な活動は勉強会ですか?

  • 澤田さん:そうですね。まあ、実質は発表会ですが。
    仙台をおもしろくする、仙台にこういう人たちがいるんだよってことを、世の中に知らしめたい、というのが大きな目的なので。

 クリーム色のフード付きパーカーを着ている齋藤さん

  • 齋藤さん:タガヤス(耕す)って、実をならせるわけでも花を咲かせるわけでもなくてその前段階。開拓です。なのでねこまたは、ITに興味を持つ人たちにとってのきっかけ作りになればいいなという思いで活動に参加しています。

  • SENDAI INC.:業界に入る取っかかりのような?

  • 齋藤さん:はい。参加して満足する勉強会でなく、「自分にもできそうかも」と何か1つでも持ち帰ってほしいと考えているんです。なのでハードルの高い「ガチ」なものばかりでなく、身近で手の届きそうな発表テーマも盛り込むようにしています。

 萩野さんと齊藤
さん

  • 萩野さん:オプトはテーマごとに内容がかなり違うので、回ごとに参加者の層が異なります。新しい技術を紹介する回があれば、「テレワークの回」と題して、働き方に悩む人に向けて発表したり。

  • 齋藤さん:タガヤスメンバーとして同じ志は持っていても、やっていることは微妙に違っていたりしますよね。

オフラインこそ地方の戦い方

グラスビールとつまみ類

  • SENDAI INC.:コロナ禍以降、仙台でイベントが減ったという声をよく聞きます。実感としていかがですか?

  • 澤田さん:オンラインでの開催が当たり前になりましたよね。実際、技術的な知識を得る目的であれば、オンラインで事足りるんです。でも、同じ場所に集まる楽しさのようなものが途切れた感覚はあります。

  • 齋藤さん:今回は初のハイブリッド開催でしたが、オンライン参加が圧倒的に多かったです。

  • 澤田さん:例えば参加者同士でご飯を食べて、共通の知り合いがいることを知って、そこから新たなビジネスが生まれるとか、そういう広がりが失われましたね。本来、仙台などの地方でこそオフラインのつながりって強みになるはずなのに。

 ビールを飲む澤田さん

  • 澤田さん:東京なら、1つのテーマでイベントを開催したら200人参加する。でも仙台では10人しか来ないとします。人口規模の違いなので、これはもう仕方がないですよ。なら仙台でイベントを開催するときは、複数のテーマを集めてやろうとなりますよね。すると違うジャンルの人たちが交流し、シナジーが生まれる。このクロスオーバーこそ、地方での戦い方だと思っています。

参加者から登壇者へ。そのマインドが学びを深め、交流を促進する

 談笑している三人

  • SENDAI INC.:UIJターンをされた方、または検討されている方に、自分に合ったITコミュニティを探すためのアドバイスをお願いします。

  • 萩野さん:東京以外でも、できることはたくさんあるし、おもしろい人は大勢います。仙台にはもっと伸びしろも可能性もある。それを知ってもらいたいですね。その1つとして、タガヤスの活動にも力を入れているところです。

 語る萩野さん

  • 萩野さん:先ほど澤田さんもおっしゃっていましたが、ざっくばらんに話しているなかで生まれるものって、やはりあるんです。そういうのが単純に楽しいし、ビジネスが広がるきっかけにもなるはず。コミュニティ探しで悩んでいる人には、タガヤスのことを知っていただき、ぜひ実際に足を運んでもらいたいですね。

  • 澤田さん:やりたいこと、学びたいことがあるなら、仙台に来て、自分が「やる側」に立つことをおすすめします。その方が絶対に楽しいし、勉強にもなります。勉強会って、実は登壇側のためにやるものですから。

  • 齋藤さん:そう。勉強しているのは、実は参加者ではなく我々の方なんですよね。

  • 澤田さん:発表するためには勉強しないといけませんからね。締め切り駆動という考え方もあるように、自分たちに対するハードルなんです。なので、学びたいなら自分が発表する側に立った方が幸せになれると思います。

 最後はタガヤスメンバーでの全員集合写真

 
ジャンル違いの人たちが集まって、一緒に何かを始める。だからこそシナジーが生まれ、予想もつかない展開へと広がりを見せる。

 
例えばエンジニアと農家が一緒に飲みながらビジネスの相談をするなんてことは、東京では難しいかもしれません。でも、仙台ならそれができます。そこが地方のおもしろさであり、強みなのだと改めて認識しました。

 
人と会い、交流すること。コロナ禍で制限されていた機会が、徐々に盛り返す兆しを見せています。勉強会も交流会も、顔を突き合わせて話すからこそ得られるものが確かにあると、タガヤスの皆さんは口を揃えました。

 
少しでも気になるイベントやコミュニティを見つけたら、可能な限り足を運んでみてください。そこから生まれる新しい展開が、きっとワクワクを連れてきてくれるはず。

PROFILE

タガヤス

「タガヤス」は仙台・宮城、ひいては東北のITを盛り上げて行きたい!という志のもと集まった企業の団体です。より良くなるように耕し、未来を見据えてタネをまき人と土壌を育てていきたい、自分自身も成長したいという想いの元に設立しました。

株式会社ねこまた

Photo:SENDAI INC.編集部
Words:岩崎尚美