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LINEスタンプで
仙台の
人気キャラクターを作ってみた

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いぎなしなまっている宮城のご当地キャラクター「仙台弁こけし」をご存じでしょうか。「やっぺす」や「おはよう靴下」といった方言をかわいいイラストとともに呟くTwitterやLINEスタンプが人気となり、テレビや新聞でも活躍中です。

SNSの登場とともに誰もがクリエイターとなれる時代、宮城・仙台から全国や世界へキャラクターを通じ発信を続けている仙台弁こけしを生んだイラストレーターのジュゴさんと仙台弁こけしのプロデュースをしているエントワデザイン株式会社の佐藤寛和さん夫妻にお話をお伺いいたしました。
仙台弁こけしさんも応援に駆けつけてくれましたよ!

まずは仙台弁こけしさんからのメッセージをお聞きください!

東京に住んでいたからこそ、仙台弁の面白さに気づいた

  • SENDAI INC.:お二人はずっと宮城に住んでいらっしゃったんですか?

  • ジュゴさん:二人とも宮城出身で、震災前までは仕事の関係で東京に住んでいました。

  • SENDAI INC.:東日本大震災のあと、宮城に戻ってこようと思ってきたきっかけは何だったんですか。

  • 佐藤寛和さん:やっぱり、実家との距離を感じたからですかね。震災の直後、宮城にいる家族との連絡が取れなくなって、不安になりました。あと、東北はまだ大変な状況なのに、東京はそうでも無かったりして、気持ち的にも距離をすごく感じました。

  • ジュゴさん:自分の大事な故郷が大変なのに、離れて暮らしていて何もできないことが悔しかったんです。すごく、モヤモヤする気持ちがあって、何か自分にもできることをしたいと感じました。

  • 佐藤寛和さん:東京では近所の人との付き合いがあるわけでもなくて、大変な時に頼れる関係性も作れていませんでした。あの時は、孤立しているような気分になりました。

  • ジュゴさん:その時はもう入籍していたので、これから子育てをすることを考えた時、東京よりも宮城で子育てをしたいと思いました。そういった宮城への気持ちと、ライフステージの変化が重なって、宮城に帰ろうと決めました。

  • SENDAI INC.:宮城へ帰ってきてから仙台弁こけしが誕生したのですか?

  • ジュゴさん:はい。宮城へ戻って夫の実家で暮らしはじめたのですが、3世帯の大家族で、日常会話で方言が飛び交っていました。私も宮城出身なのですが、地域によって言葉が違うこともあって、「それ、どういう意味?」と、やりとりするのがすごく面白かったんです。しばらく東京に住んでいたこともあって、改めて方言って面白いなって実感しました。

    子どもを出産したことで、何か子育てしながらできるものはないかと思っていたら、2014年に一般の人がLINEスタンプを作って販売することができる「LINEクリエイターズスタンプ」のサービスが始まったんです。絵を描くことが好きだったので、何か仙台弁のスタンプを作りたいと思いました。



仙台弁こけしのLINEスタンプ

こけしはどの家にもある身近なキャラクター

  • SENDAI INC.:「仙台弁で何かスタンプを作りたい。」と考えて、仙台弁に掛け合わせたのがこけしだったと思うのですが、きっかけは何だったのですか?

  • ジュゴさん:そうですね。元々秋保出身だったので、こけしは身近な存在でした(※1)。
    こけしは東北の伝統工芸品で、田舎の家にはどこにでもある身近で素朴なものなので、仙台弁と合うんじゃないかと思いました。仙台弁も身近で素朴なものですよね。
    普通こけしはしゃべらないけれど、「色々な表情でこけしが仙台弁を話したら面白そう」そう思いついて、「仙台弁こけし」のLINEスタンプを作ってみることにしました。

    (※1)仙台市太白区秋保町は温泉街として有名。「秋保工芸の里」という伝統工芸の工房が集まる場所があり、工芸が身近に存在している。

  • SENDAI INC.:LINEスタンプはすぐに人気が出たのでしょうか?

  • ジュゴさん:最初は正直、仙台弁がわかるディープな層に受け入れてもらえれば満足だと思っていました。
    あまり期待をせずにLINEスタンプを公開したのですが、じわじわと広がっていき、思ったよりも使ってくれる人が増えていったことに驚きました。

SNSはユーザーとの交流の場

  • SENDAI INC.:ここからは仙台弁こけしさんにも話を聞いてみましょう。SNSはいつから始めたのですか?

  • 仙台弁こけし:2014年からTwitterばやってっちゃ~。「おはようござりす」「おばんでがす」と挨拶すたり、まいぬづ(毎日)の暮らしの出来事だの宮城の話題だのばイラスト付きの仙台弁で呟いてっちゃ~。河北新報の記事、仙台弁こけしの四コマ漫画も不定期で載せてっちゃ。2015年からはInstagramも始めたっちゃ~。

  • SENDAI INC.:SNSの影響は大きいですか?

  • 仙台弁こけし:いぎなしでっけ〜(大きい)っちゃ!
    仙台弁こけしグッズが誕生したのもSNSがきっかけだっちゃ~。

  • 佐藤寛和さん:2015年にやなせななさんというシンガーソングライターさんが、Twitterの仙台弁こけしを気に入ってくださり、ライブ会場でプレゼントする「仙台弁こけし缶バッジ」を制作することになりました。
    これが一番最初の仙台弁こけしグッズです。

    その後、色々な所で販売を開始してグッズの種類も増えました。実際に買っていただいたという感想も知ることができますし、新商品のPRや仙台弁こけしが出演するイベントの告知もSNSを活用しています。



数え切れないほどのキャラクターグッズが販売されている

  • 仙台弁こけし:SNSはファンの方との交流の場だっちゃ。
    まいぬづ(毎日)の挨拶や、仙台弁の話題で盛り上がったり、「こんな仙台弁こけしグッズがほしい」とリクエストばもらったり「こだなおもしぇ(面白い)宮城の話題があるっちゃ」と教えてもらったりするっちゃ。

    おらの日常で、ビッキ(カエル)の声がうるさくて寝れねぇだの、せっかく洗濯物ば干したのにばぁちゃんがゴミ焼ぎをして、いぶ臭くなった(煙臭くなった)だの、田舎あるあるネタも好評だっちゃ~。

  • SENDAI INC.:SNSのコメントを見るとフォロワーさんも仙台弁でコメントをしているんですね!

  • 仙台弁こけし:んだがら。おらよりも仙台弁が達者なフォロワーさんがいっぺ~いるっちゃ~

  • SENDAI INC.:そうなんですね(笑)。
    今の若い人たちが方言を使わなくなっているという実感はありますか?

  • ジュゴさん:たしかに、あまり使わなくなっていると思います。
    私も東京にいたときはなんとなく恥ずかしくて仙台弁を封印していました。
    でも東京で仕事に疲れてどうしようもなくなったとき、よくばぁちゃんに電話していて、ばぁちゃんとの会話は仙台弁で、とても温かくて優しくて癒されました。方言には人を元気にする力があると思います。

    仙台弁こけしが活動していくことが、仙台弁を受け継ぐことの助けになればと思っています。



Twitterには約2万のフォロワーがいる

ほぼ毎日配信を続け、フォロワーとの会話を楽しんでいる
  • SENDAI INC.:今、LINEスタンプは何種類あるんですか?

  • ジュゴさん:シリーズは全部で22弾までありますね。(2019年9月現在)
    季節ごとにLINEスタンプを出したり、カルタやダジャレなどテーマを決めることもあります。
    なるべく使いやすいスタンプを心がけて制作していますが、面白い仙台弁を残したいという気持ちもあるので、「これどんな状況で使うのかな」と思いながら、あえて使いにくい仙台弁のスタンプを入れたりもします(笑)。

    フォロワーさんから仙台弁について「これはどんな意味ですか?」と問い合わせをいただくこともあるので、Twitterで標準語での訳を説明したり、仙台弁こけしのホームページでLINEスタンプの訳一覧を掲載しています。

  • SENDAI INC.:初期と今の絵柄を見比べると変化がありますね。

  • ジュゴさん:第1弾の仙台弁こけしは、ペンタブレットを使い始めた時期だったので、プルプルしてうまく線が書けなかったんです。今見返すとそれが味になっているのかもしれませんが(笑)。今は液晶タブレットを使っていて、デジタルでイラストを描くことにも慣れてきました。

    フォロワーさんや仙台弁こけしのファンの方との交流の中で、仙台弁こけしのキャラクターがだんだんと丸い顔の優しい表情になっていきました。それはきっと、みなさんから温かい優しい言葉をもらっているからだと思います。みんなに育ててもらいながら、これからも絵柄は変わっていくと思いますね。


左が最初に発売されたスタンプ、右が最新



2016年から着ぐるみが誕生し、様々なイベントに出演している

LINEスタンプから伝統工芸「こけし」の世界へ

  • SENDAI INC.:LINEスタンプ以外にどんな活動をされているのでしょうか?

  • 仙台弁こけし:んだなや~。河北新報PR大使、2017年の仙台市長選挙啓発キャラクター、宮城県警採用広報キャラクターだの、色々なPRキャラクターとすて活動してっちゃ~。仙台泉プレミアムアウトレットの夏のこけしフェスでは、2年連続でPRキャラクターばすたっちゃ。

  • 佐藤寛和さん:夏のこけしフェスでは、バスの交通広告・会場装飾・ポスター・チラシなどに仙台弁こけしを採用いただきました。
    イベント中は仙台弁こけしが館内を周ってお客さんとお話したり、一緒に写真を撮ったりしました。館内のカフェとコラボした仙台弁こけしパンケーキやクレープは「SNS映えする」と好評でした。

仙台弁こけしパンケーキは「SNS映え」として人気に
  • 仙台弁こけし:少し前になっけども、2018年12月に大崎市民ギャラリー「緒絶の館(をだえのやかた)」での企画展に参加すたっちゃ。こけしば取り上げた企画展で、学芸員の方さPRキャラクターのお声がけすてもらえで、うれすぃかったなや~。

  • 佐藤寛和さん:企画展では、伝統こけしをはじめ、こけし飛行機や47都道府県を表現したこけし、映像でろくろ体験ができる作品などの展示があったのですが、仙台弁こけしの四コマ漫画を拡大し、掛け軸状にしたものを約10点展示しました。
    たくさんの人が来館されたそうで、本当に嬉しかったです。


大崎市民ギャラリーで開催された展示会のチラシ

  • SENDAI INC.:「こけし」の伝統工芸としての魅力を伝える役割も担っているんですね!
    伝統工芸というのは職人の世界という厳しいイメージがありますが、すぐに受け入れられたのでしょうか?

  • 佐藤寛和さん:元々ある伝統工芸というブランドだったり、これまで修行されてきた工人さんたちがいて、神聖な領域というか…
    そこにふわっとした「仙台弁こけし」というキャラクターが登場することで、最初は怒られないか心配はありました。

  • ジュゴさん:心配もありましたが、「創作こけし」というアレンジしたこけしが結構いっぱいあるんです。
    「きのここけし」や「サンタこけし」など、結構柔軟な世界なんですよね。

  • 佐藤寛和さん:白石で毎年開催中の全日本こけしのコンクール会場では「一般の部門」があって、工人ではない方も出展できるんですよ。
    敷居が高すぎず、いろんな人が楽しむことができる伝統工芸だと思っています。

  • 仙台弁こけし:伝統こけしの工人さんとも仲良くさせでもらってっちゃ~。「こけしば一緒に盛り上げっぺ!」と応援してくれる工人さんもたくさんいるんでがす。
    白石市の全日本こけしコンクールだの仙台市工芸展だのイベントさも呼んでもらえでうれすぃっちゃ~。

  • ジュゴさん:今はこけしの第三次ブームで若い女性を中心にこけしに興味を持つ方が増えていますし、私自身こけしを集めるのが好きです。
    最初はこけしに興味のない人も、「仙台弁こけしがきっかけでこけしに興味を持った」と言ってくださる方もいて嬉しいです。

全日本こけしコンクールでの様子(仙台弁こけしTwitterより)

宮城でどんどん活躍の場が広がっていく

  • SENDAI INC.:最近では、宮城で仙台弁こけしを見かけることが多くなりました。

  • 佐藤寛和さん:河北新報や日専連、仙台市長選挙のCMなどに登場したり、メディアで取り上げていただくことも増えてきました。露出の機会が増えたことで、認知度も高くなってきていると感じています。グッズは宮城のお土産として購入される方が多いと聞いています。とてもありがたいことです。

  • SENDAI INC.:イベントに呼ばれることも多いですか?

  • 仙台弁こけし:んだ~。ずもど(地元)のイベントさ呼ばれることが多いっちゃ~。

  • 佐藤寛和さん:今まで、南三陸さんさん商店街オープンイベント、東北絆祭り、仙台国際空港1周年、東急ハンズ一日店長、河北新報のNEWSカフェ祭りなどに出演しました。
    初の県外デビューとしては、2018年、2019年と東京・丸の内のマルデミヤギステージに出演して、関東近郊のファンの方々と交流することができました。

2019年3月に東京丸の内、丸ビルで開催された「MARU de TOHOKU」
イベントステージで仙台弁音頭を披露
(仙台弁こけしTwitterより)

全国で愛されるキャラクターへ

  • SENDAI INC.:仙台弁こけしさんの今後の目標はなんですか?

  • 仙台弁こけし:んだなや~。宮城はもづろん全国の人からめんこがってもらえたらうれすぃなや~。SNSのフォロワーさんも全国にいっぺす、「仙台弁はわがんねげっども、仙台弁こけしのゆるい世界観が好きだっちゃ~!」って人もいるっちゃ。あったけくておもしぇ仙台弁で、宮城の良さば全国さ伝えでいきてぇっちゃ!

    (そうですね。宮城はもちろん全国の人から可愛がってもらえたらうれしいです。
    SNSのフォロワーさんも全国にいますし、「仙台弁はわからないけれど、仙台弁こけしのゆるい世界観が好きだ」という人もいます。温かくて面白い仙台弁で、宮城の良さを全国に伝えていきたいです!)



「仙台弁こけし」というキャラクターがSNSを通し、住んでいる場所を問わずコミュニケーションをすることで広がっていることが分かりました。
数多くのグッズ展開やPR大使などITから飛び出した活躍も今後楽しみです。将来、宮城のご当地キャラクターが、「くまモン」や「ふなっしー」のような全国の人気キャラクターになる日も近いかもしれません。

PROFILE

仙台弁こけし

いぎなしなまってる宮城のご当地キャラクター「仙台弁こけし」だっちゃ!あったけぇ仙台弁でみんなさ笑顔と元気ば届けるっちゃ~♪ 2014年12月にLINEスタンプとTwitterで登場。河北新報PR大使。仙台弁が楽しいグッズも好評発売中。