07/17WED

MEET UP

「地域」、「スポーツ」に
どんなイノベーションが
加わるのか
仙台市×楽天イーグルス
エンターテックアイデアソンをレポート!

「まち」と「スポーツ」に「テック」の力を。
仙台を盛り上げるアイデアソンがスタート

UPDATESENDAI vol.2(楽天イーグルスアイデアソン)」の記事でお伝えした「エンターテックmeetup・アイデアソン説明会(東京、仙台)」。今回は、実際にアイデアソンの会場へ潜入してきました!

エンターテインメントやスポーツの領域でも、ITを活用して人々によりワクワク!な体験を提供しようとする新しい動きが注目を集めています。「都市(仙台)」と「スポーツ(楽天野球団)」、その2つにどんなイノベーションが加わると、まちをよりワクワクさせる取り組みが生まれるのでしょうか。

 

会場のイーグルスドーム

会場のイーグルスドームに集まったのは、一次審査を通過した10チームからなる約40名。

アイデアソンの会場

まずは仙台市経済局長の遠藤 和夫(えんどう・かずお)さんによる開会挨拶からスタート。

「東日本大震災後の2013年に楽天イーグルスが優勝したときは、東北の何百万人もの人々が助けられ、楽天生命パーク宮城は聖地のようになっています。この場所でIotAIを活用し、多くの人の意見を組み合わせることができれば、可能性は無限大だと考えました。ここから、レジェンドを作ってください」(遠藤さん)

そのほか、楽天と仙台市から、それぞれ現状のリソースや今までの事例の説明が。楽天野球団からは観客の動員数やターゲット、ビジョンなどについて。仙台市からは、現時点での課題や可能性、実証事件などの紹介がありました。

スタジアム見学でアイデアと現状を照らし合わせてみる

イーグルスドーム周辺

まずは、スタジアム施設の見学から。グリコパークの中を通り、いつも選手が待機しているベンチや客席、普段はあまり見ることができないブルペンの中を見て、参加者も写真を撮影をしながらアイデアを膨らませていきます。

見学から戻ってきたら、お次はアイデアスピードピッチング。今までのアイデアと見学後の体験を組み合わせ、アイデアを磨き上げます。1チーム3分ずつの発表とメンターからの5分のアドバイスを終え、それぞれチームごとにブラッシュアップを行いました。

いよいよ、2日間の成果を発表!

2月3日(日)に行われたプレゼンテーションでは、10組がスタジアムとまちを盛り上げるための楽しいアイデアを披露。メンターのみなさんからもさまざまな意見や質問が飛び出し、最終選考では審査員による侃侃諤諤の議論が交わされ、3つのグループのアイデアが採択されました。

エンターテック・アイデアソン説明会解消

最優秀賞は、「仙台まるごとボールパーク構想」!

ずんだ組のプレゼンテーション風景

最優秀賞にエピソード選ばれた株式会社Standbymeによる「ずんだ組」の「仙台まるごとボールパーク構想」は、野球体験のライブ感を仙台のまち全体に拡げるというもの。

居酒屋やバーにタブレット端末を設置することで、店内にいる人たちも野球を生中継で観戦することができ、また、そのファンの姿がスタジアムのビジョンにも映し出されることで、「まち全体での野球観戦」を実現するというアイデアです。さらには、開発中のアプリを使用して一緒に野球観戦に行く人を見つけたり、好きな選手のファン同士で集まれるようなマッチングも行いたいとしています。

最優秀賞のずんだ組

ほか2グループもアイデア採択へ。
このアイデアで仙台を変える!仙台が変わる!

i Teamのプレゼン風景

そのほかに採択されたのは、株式会社SRA東北i Team」による「Throw Coin~応援をもっと身近に」。これは、“投げ銭”のアイデアを野球に応用したもので、お気に入りの選手に対して楽天ポイントを利用したデジタルコインを投げ入れて応援するアイデア。

利用者はその場で選手のARを見られるほか、投げ銭はその後楽天がデジタル賽銭箱として管理し、一定額が貯まったら地域の少年野球団にボールなどを寄付することで、地域貢献もできるという仕組みです。

選手のほうから会いに来る!?
密室でお気に入り選手と密会できるAR

ユニークなアイデアで会場を沸かせたニューロマジックのプレゼン

ユニークなアイデアで会場を沸かせたニューロマジックのプレゼン

 

そしてもうひとつの採択が、株式会社ニューロマジックによる「ニューロマジック」の「会いに来るイーグルス選手~60秒間のユニホームデート」。ファンがユニフォームを着て“密会ブース”に入ると、ARで選手が現れ、メッセージをくれるというもの。

男性ファン向け、女性ファン向けなどはAIによるユーザー認識で行い、ライトファン層はもちろんのこと、コアファンのロイヤリティも向上させようというユニークなアイデアです。

ITサイドでは、これら3つのアイデアをブラッシュアップした321日(祝)の「DEMO DAY」の様子をレポートします。

ブラッシュアップしたアイデアを
DEMO DAYに発表!

2月2日、3日の2日間にわたって行われた「エンターテックアイデアソン」で採択された3つのアイデア。2か月足らずという短い期間ではありましたが、321日(祝)に「エンターテックアイデアソンDEM DAY」でそれぞれブラッシュアップして発表されました。

商業施設も巻き込んだ、エンターテインメント性バツグンの
「会いに来るゴールデンイーグルス」

ニューロマジックのプレゼン風景

ライトファンを取り込むアイデアを披露

 

まずは、ニューロマジックの『愛を待つより愛しに行く〜会いに来るイーグルス選手〜』から。イーグルスが抱える課題を「ライトファンを引き上げ、イーグルスへの優先度を上げてもらうこと」としたうえで、仙台市の街なかにイーグルス体験場出現するというアイデアを披露しました。

商業施設や大型店舗に大型モニター、3Dデプスカメラ、音声認識を搭載したボックスを設置するこのアイデアは、その箱に入るだけで自分がまるでイーグルスの一員になったかのような体験ができる、というもの。先発選手になってロッカールームに行ったり、ブルペンでの練習や、ミーティングへの参加など、リアルなストーリーが展開されます。また、AIによって選手と会話ができるというから驚きです。

さらに、銀次選手が支配人を務めるクラブで選手との会話が楽しめるストーリーも紹介されました。このアイデアに対し、仙台市産業振興課の白岩さんは「たくさんの人が行きたいと思うし、商業施設とお店でそれぞれ違う体験ができるのがいいと思う」と評価。

ニューロマジックの木村隆二(きむら・りゅうじ)さんは「インカムとアウトカムのバランスが難しいとは思いますが、がんばります」と締めくくりました。

投げ銭で応援を可視化。楽天野球団との距離がぐっと縮まる「Throw Coin」

Throw Coinのプレゼン風景

ゲーム感覚で応援ができるアイデア

 

2番目は、「iTeam」の『Throw Coin –応援をもっと身近に』。コンセプトは、「応援の可視化」です。投げ銭で応援された度合いをリアルタイムでスタジアムに表示して、どの選手が応援されているのかを感じることができるもの。

試合と連動して利用者のアプリにプッシュ通知したり、利用者に一定の「ノルマ」を科すことでゲーム性を高め、そのリワードに選手のサイン入りグッズや試合のチケットを受け取ることができるようにするなど、ファンとイーグルスの距離をグッと近づけるアイデアでした。

まずはウェブアプリを開発し、その後スマホアプリ化、ARアプリ化することで最終的には5万人程度のユーザーを見込みます。仙台市産業振興課の白岩さんは、「コインを投げる体験が面白いと思いました。試合を見るという体験をいくつもの体験につながるのがいいですね」と講評。

iTeam安元耀(やすもと・ひかる)さんも「これが実現できれば、エンジニアとして大きな成長につながると思います」と、やる気に満ち溢れていました。

実証実験まであと一歩! 『仙台丸ごとボールパーク構想』

仙台丸ごとボールパーク構想のプレゼン

3つのフェーズで仙台をまるごとボールパーク化する

 

最後は、最優秀賞となった「ずんだ組」による『仙台丸ごとボールパーク構想』です。

ライトファンには「一緒に観る人がいればスタジアムに行く」という傾向があることから、マッチングアプリを用いて、 “誘う勇気”のない人のために“誘われ待ち市場”を創出します。

その次のフェーズとして、野球をエンターテインメント体験として認知させ、「仙台ならば野球をきっかけに友達が増える」という認知に変えて仙台全体をボールパークにしようというものです。

このアイデアは、実際にSNSを使って観戦したことのある人たちへのアンケートをもとにすでに自社開発したアプリ「cinemally」を応用して実証実験まであともう一歩のところまできています。

仙台市産業振興課の白岩さんは、「こういうプラットフォームがあると効果は高いと思います。ほかの分野でも使えそうですね」と評価しました。

「ずんだ組」代表の奥野圭祐(おくの・けいすけ)さんは「もともとはライブや映画に行く人を見つけるために開発したアプリですが、ドラマチックな体験とスポーツの相性がいいことが、今回わかりました」と、新たな事業としての期待感に胸を膨らませているようでした。

スポーツとITで、仙台はもっと楽しいまちに変わる!

すべてのピッチが終了し、最終講評に立ったのは、株式会社楽天野球団代表取締役社長の立花陽三(たちばな・ようぞう)さん。

「我々もコアファンだけじゃないファンを開拓しないといけないので、今回のアイデアはとても面白かったです。私たちにも協力させていただければと思います。仙台は、野球、サッカー、バスケのプロチームがあるので、ITの力でスポーツをもっと盛り上げていきましょう」と話しました。

こうして、さまざまなワクワクがつまった「エンターテックアイデアソン」は無事終了。これからの仙台がイノベーションの力でどのように変化していくか、楽しみですね。

PROFILE

株式会社standbyme

https://cinemally.com/

Cinemallyという、映画やアートなどの好きを分かち合う趣味仲間が見つかるサービスを開発しています。 ライブ・映画・展覧会・観劇・スポーツ観戦など、興味はあるけど行くきっかけがない・どうせなら誰かと行きたい人たちを繋げて、イベントに一緒に行く予定が立つサービスです。

株式会社ニューロマジック

https://www.neuromagic.com/

94年設立のデジタル系プロダクション。東京、福岡、沖縄、アムステルダムにオフィスを構え、現在アルバイト含め100名近くが在籍。ウェブサイトの戦略立案、企画、制作、運用、システム開発を中心にしつつ、近年はサービスデザインの領域にも業務を広げ、幅広く課題解決に向けたソリューションを提供している。

株式会社SRA東北

https://www.sra-tohoku.co.jp/

1986年12月設立し、東北地域を基盤に電力・銀行・一般企業のお客様にシステム開発やネットワーク構築、 運用等のサービスを展開しています。 また、大学向けに「DB-Spiral」(大学情報DBシステム)も展開しており、全国の多くの大学でご利用いただいています。 最近では、AIやロボット等、新しいテクノロジーへの取り組みも行っています。