03/16TUE

MEET UP

新しい時代のビジネスが
生まれる
『X-TECH BUSINESS BUILD』

2020年、新型コロナウイルスの影響によって、大きな革新のときを迎える「いま」。
ITの力を駆使して「エンターテインメント」「スポーツ」「飲食店」の3つの方向からビジネスをさらに加速させようと『X-TECH BUSINESS BUILD』が開催されました。
今回は、ITに強い仙台だから生まれる、ニューノーマルな時代のビジネス誕生の瞬間を見届けます。

X-TECH BUSINESS BUILDとは?

楽天イーグルスベガルタ仙台ハミングバードとコラボレーションし、事業アイデアを社会実装する『SENDAI X-TECH BUSINESS BUILD』。
事業アイデアの書類審査を経て選ばれた9つの企業が、2日間のBUSINESS BUILD DAYSに参加。メンターやコラボレーション企業とのヒアリングで、さらにアイデアをブラッシュアップしました。
その後、最終プレゼンにて採択された企業は、実装に向けたインキュベーション・実証実験へと進みます。

3つの募集テーマで仙台のニューノーマルを募集

本年度の「SENDAI X-TECH BUSINESS BUILD」のテーマは、『ニューノーマル時代の「エンターテインメント」「スポーツ」「飲食店」』。
仙台市にある楽天イーグルス、ベガルタ仙台、ハミングバード・インターナショナルの3社が抱える課題を元に、アフターコロナを見据えた新たなテクノロジーを使った事業アイデアが求められます。
それぞれの企業が抱える課題は以下の通り。
楽天イーグルス
テーマ①:コロナ禍でも安心安全なスタジアム
テーマ②:オンラインで疑似観戦体験
ベガルタ仙台
テーマ①:店舗の混雑状況や導線がすぐ分かり、安心&スマートなスタジアム体験
テーマ②:コロナ禍で制限がある中でも楽しめる、スタジアムでの特別な観戦プラン
テーマ③:周辺店舗等との連動による、スタジアムから地域に広がる都市体験
ハミングバード
テーマ①:販売チャネルを横断した売上(集客)増加
テーマ②:省力化による人手不足の解決や生産性の向上
テーマ③:新たな発想によるフードビジネスの形

注目チーム「ミヤックス」に密着!

株式会社 ミヤックス AI・イノベーション事業室
武田 空(たけだ・そら)さん

 

プログラム1日目、SENDAI INC.では株式会社 ミヤックスさんに密着。今回のプログラム参加に至る経緯をお伺いいたしました。

 

――まず、ミヤックスさんについて教えてください。
弊社は、戦後荒廃した日本のため「教育を通じて社会に貢献したい」という思いで1948年に創業し、学校の教育関係機材の取り扱いを始めました。
その後、時代の変化に合わせて遊具や修景施設の設計・製造・販売、オフィスなど施設環境設備の販売など、「場のデザイン」へ幅を広げました。
2019年から新たにAI・イノベーション事業部を立ち上げ、AI人材不足の解消のために、東北大学での講義や教育コンテンツの提供、AIプログラムの販売、企業向けにセミナーなどを行っています。

※地域未来牽引企業2020(経済産業省)、健康経営優良法人2021 中小規模法人部門 ブライト500(日本健康会議)認定

 

ミヤックスさんがプロデュースした遊具

 

大学生・留学生とのワークショップ

 

――なぜ、今回のイベントに出場したのでしょうか。
宮城県で70年以上商いを行ってきた老舗企業ならではの「お客様のニーズを的確に捉える」という強みと、ベンチャー企業の様なスピード・デジタル技術を含めた柔軟な発想力を持ち、より良い社会の構築や社会へのインパクトを与えられるよう事業を進めています。
既存事業と革新的挑戦を融合し、社会課題を解決しながらビジネスが成立する事業づくりに挑戦したいと考え、若手育成のため応募しました。

 

――どんな事業アイデアを考えているのか教えてください
今回弊社は「また行きたい! 活気溢れる街・仙台」というテーマで、デジタル化による業務の省力化と、魅力あふれる飲食店の増加による街の活性化を提案いたします。
飲食店をターゲットに、発注などの「店の運営に必要な裏方の業務」にAI等を導入。
裏方業務の省力化により、スタッフが接客や教育、メニューのブラッシュアップなど「来店客に直接関わる業務」に当てる時間を増やし、人対人でしかできない「お客様と深く関わる接客サービス」の質を向上させたいと考えています。
そうした料理やサービス、スタッフの質が向上することで、「また行きたい店」が仙台に増え、周辺地域が賑わい、活気溢れる街になることを目指します。

――イベントに向けての意気込みをお願いします!
今回の企画を通じて、宮城県内の他の飲食店にも展開・普及させることで、宮城県・仙台市の街の活性化に繋げて行きたいです。

 

最終選出されたチームは?

2日目にもアイデアブラッシュアップを行い、プレゼンを実施。最終発表では、9つのチームから、「楽天イーグルス賞(エンターテインメント)」、「ベガルタ仙台賞(スポーツ)」、「ハミングバード賞(飲食店)」の3つの賞が選ばれます!

楽天イーグルス賞(エンターテインメント)

楽天イーグルス賞に選ばれたのは、「株式会社GATARI(ガタリ)」。 最新のVR/AR/MR技術を用いて次世代のコミュニケーションをデザインする企業。東京大学発のスタートアップとしてアプリケーションなどの開発などを手がけています。

バーチャルで次世代のスタジアム体験を

事業内容:「Virtual Stadium -デジタルとリアルが融け合う次世代スタジアム体験-」
バーチャルスタジアムを活用した「オフライン」「オンライン」「相互に交流でできる」、3つの体験を提案。
専用のアプリケーションとイヤホンを利用し、オフラインでは会場でARを使ったステッカーを貼ってみたり、オンライン会場でリアルタイムの試合状況を体感できたりと、次世代のスタジアム体験を提供します。

楽天イーグルスコメント:新しい体験をテクノロジーで作る試みが、ニューノーマルというテーマにぴったりだと感じました。素晴らしい体験を実現するため、一緒に良いものを作っていきたいです。

GATARIコメント:我々の商品は「体験型」なので、オンライン開催でどのように良さを伝えていこうかと不安でした。これから実際に体験していただきながら、価値があるものを作っていきたいと思います。

楽天イーグルス採択企業

今回、楽天賞とは別に採択企業2社、「株式会社toraru」と「D harbor株式会社」が選出されました。今後、こちらの2社とも事業化に向けてプロジェクトが進行します。

チーム名:株式会社 toraru(トラル)
事業内容:「仙台からニューノーマル発信ースタジアムを聖地巡礼の場にー社会貢献ビジネスプラットフォームへ」
オンライン視聴の権利を購入したファンに、専用の案内員(コンシェルジュ)が実際の練習風景やスタジアムの雰囲気を紹介をしてくれるサービス。

チーム名:D harbor株式会社(ディーハーバー)
事業内容:「スタジアムグルメ デリバリー企画」
スタジアムグルメの売上減少を回復させるため、デリバリーに注目。全国各地の飲食店が協力し、料理を各家庭へ届け、自宅で野球観戦をしながらスタジアムグルメを楽しめます。

ベガルタ仙台賞(スポーツ)

ベガルタ仙台賞に選ばれたのは、「株式会社スピードリンクジャパン」。 ITに関するさまざまな事業を展開しています。試合を見ながら実況者と繋がることができる観戦アプリGayaR(ガヤール)を開発しました。

事業内容:「スポーツ観戦を通じた地域活性化」
観戦アプリGayaR(ガヤール)を活用し、オンライン観戦を楽しむチャットや飲食の割引チケット配布などを行う。
試合前、試合中、試合後、帰宅途中のシチュエーションに合わせたラジオ配信も実施。スタメンやグルメの情報、プレゼント企画など常に音でも情報を得ることができる。

ベガルタ仙台コメント:文字と音を掛け合わせた双方向のサービスが新鮮でした。ベガルタ仙台のファンをセグメントした提案や、周辺の街全体へ広がるようなサービスの展開もとても印象的で良かったです。

スピードリンクジャパンコメント:スポーツ観戦から地域を活性化へ導き、仙台市を盛り上げていきたいと思っています。ひとつずつステップを積み上げて、良い結果を残せるような活動につなげていきたいです。

ハミングバード賞(飲食店)

ハミングバード賞は「株式会社ミヤックス」。 仙台市泉区に本社があり、遊具や学校施設などのプロデュースを行ってきました。2019年にはAI・イノベーション事業が発足し、AIサービスを代理店として取り扱っています。

大学と連携したDX支援で飲食店をアップデート

事業内容:「また行きたい!活気溢れる街・仙台へ」
飲食店の人材不足やIT化の遅れを解消するためのDX支援を実施します。来客予測データを分析することで、適正な人員配置や発注の最適化で廃棄ロスなどを実現。
売上UPとコスト削減でリピート客を増やす戦略を練ることができます。また、AIやデータ分析の素養のある地元大学生とともに、データ分析を行います。

ハミングバードコメント:飲食店はIT化が遅れているので、力をお借りしてデータ分析することで、自分たちの強みが何かを把握できるようにしたいです。また、ソフトを活用するだけでなく、人材として学生にお手伝いいただけるというところが採択の理由となりました。

ミヤックスコメント:飲食店をアップデートできるよう、地域の人材育成も一緒に進めていければと思っています。スピード感を持って取り組んでいきたいです。

ニューノーマルへの実証実験開始

最後に、「仙台市での新しいテクノロジーによる取り組みが、同じようにコロナ禍で苦しんでいる全国の企業への支援につながるのではないか」と仙台市からコメントがありました。
『X-TECH BUSINESS BUILD』をきっかけに仙台の「エンターテインメント」「スポーツ」「飲食店」がアップデートされ、ニューノーマルとなる日が楽しみです。

 

Words:笠松宏子