03/11WED
PEOPLE
仙台を拠点に全国へ。
企業の意思決定を支える
データ分析の仕事って?
IT SIDE(前編)
IT SIDE
この記事は、IT SIDE(前編)とSENDAI SIDE(後編)の2部構成となっています。
今回お話を伺ったのは、データコム株式会社 取締役の小野寺裕貴さんです。IT SIDE(前編)では、データ分析システムの活用方法や仕事の魅力について、SENDAI SIDE(後編)では、仙台を開発拠点としている理由やその強みなどについてお伺いします。
COLORweb学生編集部の現役大学生が、仙台IT業界への理解を深めるべく、業界内で活躍する人・企業にインタビュー!今回は、小売店に特化したデータ分析サービスを展開するデータコム株式会社様です。
取材にお伺いする前に、COLORweb学生編集部一同で「小売店バイトあるある」についてざっくばらんにブレストしました。

「忙しい日に限ってシフトに入る人手が足りないよね」「わかる!忙しい日ってなかなか読めないよね」「その日によって売れる商品も変わるし」などなど、学生だからこそ素朴に感じるアルバイト中の“もやもや”を語り合いました。
そんな“もやもや”を解消すべく、今回お話をお伺いしたのは、データコム株式会社 取締役の小野寺裕貴さん。「発注や売り上げの不思議」「シフトの偏り」「在庫のムダ」……。学生目線でアルバイト中の素朴な疑問をぶつけながら、データ分析の力で “現場のリアル”を支え続ける“縁の下の力持ち企業”の魅力を掘り下げます。

小売業の課題を現場から解決する
ITソリューション
-
学生編集部(COLORネーム・mame):今日は代表して私が取材させていただきます!まずはデータコムさんの事業領域やお取り組みについて教えていただきたいです。
-
小野寺さん:1994年に仙台で創業した当社は、開発拠点として仙台に本社を、営業・マーケティング拠点として東京に支社を置き、小売業界に特化したシステムソリューションを手掛けてきました。主なお客様はスーパーやドラッグストアといった、いわゆる多店舗展開をしているチェーンストアで、宮城県内にも複数のお取引先があります。
例えば、スーパーのレジで商品を買うと、レシートが発行されますよね。そこにはコーラ98円、白菜128円……などの購入情報が記録されています。実はこの情報がPOSシステムによって蓄積されており、私たちはこの蓄積データを分析し、商品の売れ行き傾向などを読み取ります。その結果をもとに、お店の在庫管理やマーケティング、販促などに生かせるご提案をしています。 -
学生編集部mame:私たちの普段の買い物の裏側で、ITがそんな役割を担っていたんですね!

バイト中のモヤモヤ、
仕入れ不足や廃棄をどう防ぐ?
-
学生編集部mame:スーパーの例を教えていただきましたが、編集部の中に、カフェでアルバイトをしているメンバーがいます。仕入れ食材の廃棄が出てしまったり、反対に、新商品がすぐに売り切れてしまったりすることがあるようなのですが、こういったことは、データ分析の技術で改善できますか?
-
小野寺さん:カフェの場合、時間を大きく分けて朝昼晩の3つのタイミングがあり、それぞれの時間帯に一定の常連客がいらっしゃいます。季節によっても変化がありますよね。夏で暑くなってきたら、アイスコーヒーを求めるお客様が増えて、冬になればホットコーヒーが売れる。そのお店が駅の近くにあって、誰かのコンサートで急に3万人が押し寄せるとなると「普段の土曜日の1.5倍は増えそう」というように、時間帯、天気や季節、イベントなど「こういう場合はお客さんが増えそうだ」と予想を立てられますね。
時間ごとの人数は過去のデータから一定の予測がつくので、それを参考にしながら仕入れや商品の用意をすることはできると思います。

-
小野寺さん:在庫切れに関して、例えば、過去データから「この日は来店者が増えそうだ」と予測できれば、マフィンを通常20個作るところを30個作っておけば、売り切れを防げるかもしれません。ただし難しい点もあります。マフィンの売れ残りが1〜2個だけ並んでいると余り物感が出てしまったり、ラスト1個はお客様が手を伸ばしにくかったりと、なかなか悩ましいところですね。
商品の個数に加えて、陳列の仕方も重要です。スーパーなどでは、ポテトチップスがたくさん積んであると賑やかさを演出できたりします。ドン・キホーテさんの売り場作りはその一種。敢えてごちゃごちゃさせることによってディスカウント感も演出されるので、工夫がこらされているんですよね。 -
学生編集部mame:面白いですね。売り場を見る目が変わりそう……!

バイト中のモヤモヤ、
人手が足りない!
-
学生編集部mame:私は居酒屋でアルバイトをしていますが、平日に予想より混んでしまい、シフトの人数が足りずにバタバタ忙しくなる時があります。こういった人手不足の解決策はありますか?
-
小野寺さん:商品の廃棄や欠品と同じロジックで、一定の波を予測するのは大事です。また、「忙しい」というのもある種抽象的だと思っていて、提供スピードを重視しているのであれば、提供するまでの目標時間と、人の能力を絡めてプランを立てることは解決策の一つだと思います。
例えば、カフェでコーヒーをオーダーされたら、5分以内で提供する目標があるとします。それに対してレジ打ちが何秒以内に出来る人、コーヒーをドリップしてコップに入れるまで何分以内で出来る人……というように、スタッフそれぞれの能力を可視化しておくのは有効です。

-
小野寺さん:アメリカのスターバックスコーヒーさんは、レジでの注文は7分以内に提供、アプリやウーバーイーツでの注文は12分以内で提供といった目標を明確に持っていて、注文された商品のうち、どれを先に作ると最も提供までの時間が短くなるかといったデータを取っているそうです。
当社でお取引のあるスーパーさんにも、バックヤードでお惣菜を作るのに何秒かかるかをスタッフごとに計測し、データを管理しているお店があります。そこまでとは言わずとも、その考え方に基づいて近いことをやってみるイメージですね。 -
学生編集部mame:今後、活かしていきたいです。
バイト中のモヤモヤ、
もっと良いポジション配置はできる?
-
学生編集部mame:アルバイト先では、自分の希望するポジションで働きたいと思いがちですが、実際に動いてみると「別の人と役割を交代した方が良さそう」と感じることもあります。最適なポジション配置などに活かせるIT技術はありますか?
-
小野寺さん:先程の話と重複しますが、やはりスタッフそれぞれの能力を可視化するのは、平等で効率的ですね。「この人にはこの仕事に特化してもらう」ということであれば、レジ打ちが速い人はレジに専念してもらい、外交的な性格の人はホールに入ってもらうのが良いですよね。
オーダーを取りに行く人は外交的な方が良いけれど、料理を運ぶ人は必ずしも外交的ではなくても良いとか、性格的に補完し合う組み合わせもあったりする。データに基づいた可視化が、最適な人員配置の鍵になるということです。
データ分析はこんなところにも!
さまざまな活用例
-
学生編集部mame:データ分析を活かすことで、実店舗や現場が変わった事例を教えていただきたいです。
-
小野寺さん:季節商品が良い事例ですね。例えば、去年の土用の丑の日に私が鰻を買っていて、今年はまだ買っていないことが、スーパーのポイントカードの情報に残っているとします。
今年は違うお店に行ったのかもしれないし、単純に土用の丑の日を忘れていたのかもしれません。
理由は色々あると思いますが、事実として2年間の行動が記録されています。
そのデータをもとに、例えば「来年は6月から鰻を予約できます」という案内を「買っていない人へ向けて早めに届ける」ことによって、買い忘れは防げます。そこに、予約特典やディスカウントをつければ、競合他社に流れることも防げるかもしれません。
データの蓄積によって、売り場作りやお客さんとのコミュニケーションに活かすことができます。理想は、お客様一人ひとりに対してアプローチすることですが、クリックやブラウズの履歴を分析できるオンラインショップと違い、実店舗では難しいところがあります。 -
学生編集部mame:それは難しそうと思っていました。そういう場合はどうしたら良いのでしょう?
-
小野寺さん:ある程度記録をグループ化するのが現実的ですね。購買価格帯でのグループを例に挙げます。
ディスカウントした時に来てくれるような、低価格志向が強いグループには値引きの日にお知らせメールを送ります。
価格にとらわれずに良いものを買う人に対しては、むやみに値引きする必要はありません。
そういう方に対しては「鹿児島県のこだわりの◯◯を仕入れました」のように、価値で訴求するのが効果的だと考えます。

データ分析を
ビジネスに活かしていくおもしろさ
-
学生編集部mame:データ分析の技術が進歩することで、現場はどのように変わっていくと思いますか?
-
小野寺さん:データ分析をもとに時間別の売り上げトレンドが分かっていれば、売り上げ増加と効率化を両立することができます。
例えば、あるスーパーで夕方に牛乳がよく売れるとしたら、夕方に牛乳を補充する人を配置して店頭の品切れを防ぎ、お客さんが買いそびれないようにできます。補充の頻度が高いものが把握できれば、その商品を売り場やバックヤードの前の方に陳列して補充効率を上げることができます。
品出しの時間を削減できれば、お客さんからの質問に丁寧に答えたり、商品説明の貼り紙を作ったりする時間を生むことができ、売り上げアップに繋がる可能性があります。
売り上げデータと人の業務とを紐づけると効率が上がるし、突き詰めれば人件費も減るかもしれません。データとは関係なしに、なんとなく仕入れを行っていると、売り上げの傾向を振り返れなくなってしまいます。目標を立てて結果の分析を繰り返すことで、現場が変わっていくと思います。

-
学生編集部mame:私たち学生に向けて、データ分析に関わる仕事に就くことの魅力を教えてください。
-
小野寺さん:データ分析は、事実を扱う仕事です。社会人1年目も10年目も、与えられている事実は同じ。「コーラが10本売れている」といった事実に基づいてディスカッションできるので、若い人でも活躍できる可能性があります。
与えられた事実は同じでも、それを見る角度は十人十色。「先週10本売れたコーラが今週は9本売れた」場合、売り上げの点から見るとマイナスですが、角度を変えて見ると、コーラは少し売れなくなったけれど、一方でサプリメントが売れていたら、健康志向の人に訴求できているという見方もできる。コーラに「炭酸」「甘い」といったフラグをつけて、「甘い炭酸飲料」というカテゴリーから傾向を比較することもできます。事実は一つですが、このように、意思を持って分析することは面白く、角度を変えて見方を調整できるのも面白さだと思いますね。 -
学生編集部mame:データ分析にはなんとなく機械的な印象があったのですが、意思を持って色々な見方をするというのが、人間らしくて面白いと思いました。

-
小野寺さん:そうですね。データ分析の仕事に関心がある人は、一社のデータを深く分析したいのか、色々な企業のデータを幅広く見たいのかで、できることが変わってきます。当社は全国に何百社というお客様がいます。「今、全国にこういったトレンドがある」とか「東京では◯◯だけど仙台は△△」といった地域差も見られるのが特徴です。扱っているデータは店舗数にして1万数千店舗分。大規模なデータに向き合えるのは当社のような立場ならではで、すごくインパクトが大きい仕事なんです。
SENDAI SIDE
SENDAI SIDE(後編)は3月18日公開予定です
PROFILE
データコム株式会社は、30年以上にわたり多店舗展開企業のパートナーとしてビジネスの現場を支えてきました。1994年の創業時から、蓄積されたデータを「確かな判断」へと変え、組織の成長を支えることを信念としています。小売業の最前線で培った知見を活かし、現在は実務に即した多角的なソリューションを展開。データの力で組織をより豊かにすることを目指し、私たちはこれからも真摯にビジネスの現場を支え、未来への変革に挑戦し続けます。
Spaces仙台
Photo:SENDAI INC.編集部
Words:COLORweb学生編集部