03/18WED

PEOPLE

仙台を拠点に全国へ。
企業の意思決定を支える
データ分析の仕事って?
【SENDAI SIDE】

SENDAI SIDE:後編

この記事は、IT SIDE(前編)とSENDAI SIDE(後編)の2部構成となっています。

IT SIDE(前編)では、データコム株式会社 取締役の小野寺裕貴さんに、データ分析システムの活用方法や仕事の魅力についてを伺いました。IT SIDEに引き続き、SENDAI SIDE(後編)では、データコム株式会社が仙台を開発拠点としている理由やその強みなどについてお伺いします。


メガバンク、大手データ分析会社から
データコム株式会社の後継者へ

  • SENDAI INC.:前編では、データ分析のお仕事の魅力について伺いました。
    後編ではまず、小野寺さんがデータコム株式会社に入るまでについて伺います。
    小野寺さんは、高校生までは仙台で過ごし、大学から東京に行かれたんですよね。東京に出ることは決めていましたか。

  • 小野寺さん:決めていました。私は1992年生まれなのですが、1994年に父がデータコム株式会社を創業しているので、ほぼ会社と一緒に成長していることになりますね。物心ついた頃には、父から仕事に関する色々な情報を聞いていた記憶があります。

  • SENDAI INC.:小さい頃からお父様とお仕事の話をされていたんですね。どんなことをお話しされていたんですか。

  • 小野寺さん:今回の前半でお話したような「この仕組みって実はね……」みたいな話をされたり、一緒に旅行に行ったらスーパーに連れていかれたり。スーパーの面白さを潜在的に刷り込まれていたかな(笑)。私が子どもの頃は、当社で商品POPやプライス表を印刷する仕事もやっていて、それを納品先のお店に届ける父についていくこともありました。

    父の仕事に興味はありましたし、事業の内容関係なしに、社長という立場が面白いなと思ったのは中学生の頃でした。
    会社の後継者になれる貴重な立場にいると思っていましたし、何かをぐっと飲み込んでやるくらいなら、リスクを取る方が面白いんじゃないかなということは、進学や就職活動の際、念頭に置いていました。
    大学在学中は、経営を学ぶなかで「お金って大事だな」と思うようになり、銀行に就職しました。

  • SENDAI INC.:銀行では、どんな仕事をしていましたか。

  • 小野寺さん:企業の融資や投資を担当する法人営業をしていました。お金が大きく動くことを目の当たりにする仕事で、「こういう業種だとこのタイミングでお金が出ていくんだな」とか、業種ごとの生データを紐付けて見られたのはすごく面白く、総合的な提案ができてやりがいがありました。
    それに、メガバンクの法人営業だったので、社長や財務部長に会うことができ、若くしてそういう方々の話が聞けたのも面白かったです。


メーカーと小売店
データ分析でそれぞれの醍醐味

  • SENDAI INC.:銀行を退職後は、データ分析の会社に就職されました。

  • 小野寺さん:メーカーさんに対して、全国の統計や市場に関するデータを提供する会社でした。主なお取引先の中には、大手の飲料、食品メーカーさんなどがいました。
    当然、どの企業さんも商品を作っているので、社員の皆さんはマーケティングに対する意識レベルが高いと感じていました。データ分析の提案時も「このサンプル数はどれくらいですか?」とか「統計的に有意ですか?」というように、データに対してもすごくシビアで、こだわりの強い方が多かったです。

  • SENDAI INC.:前編では、ビッグデータ的に色々な市場を見るか、もしくは1つの企業を深く見ていくかというお話がありました。メーカーさんは広い視点で自社と同業他社とを比較しているイメージです。統計データに対するシビアな反応の一方で、意外とここは知らないみたいなこともありそうですね。

  • 小野寺さん:そうですね。小売店さんの場合、自分のお店の中でデータが発生するので、誰がいくらで何を買ったかがわかります。一方で、メーカーさんは自販機などを除くと、そういうデータは持っていません。コーヒー飲料の新商品を出す場合、通常は自社商品と競合他社商品に着目しますよね。

    しかし、本来であれば缶コーヒーを作るにしても、「粉コーヒーを買っている人がどういう人か」といったところまで視野を広げて見なければならない。コーヒーが嗜好品であることを考えると、「ビールを飲む人はコーヒーも飲むのか」、「どんな時に飲むのか」といったことも考える必要があります。こうした色々な分析を組み合わせ、カテゴリーを横断して考えるため、我々のようなプレイヤーが重宝されます。

  • SENDAI INC.:メーカーさんと商品開発のベースを一緒に作っていくのですね。やりがいがありそうです。


データ分析で
AIとどう向き合う?

  • SENDAI INC.:データ分析において、AI技術の進歩は切っても切り離せない部分かと思います。今後AI技術とはどのように向き合っていきますか?

  • 小野寺さん:まず、データ分析にはそれ相応の時間がかかります。
    しかし、業務時間を減らしていくことは不可欠なので、AIを活用し、分析時間を減らしていきたいと考えています。

    Google GeminiやChatGPTなどのオープンソースが無料で使えるようになっていますが、企業固有のデータ分析には対応しきれていません。
    POSデータを含む当社の膨大なデータを活用すれば、当社にしか作れない独自の分析エンジンが出来上がるので、それはやるべきだと考えています。

    最後に、AIを使う人側の話です。
    需要予測や自動的な発注など、AIが勝手に決めてくれるシステムもありますが、そうすると売り場担当者の意思がなくなります。従来であれば「〇〇個頼もう」と最後に発注ボタンを押す人の「売らなきゃ」っていう思いが乗るんです。
    それをAIが自動でやると、人のイニシアチブが無くなってしまうというネガティブな側面がある。そこはあまり議論されていないのですが、私は大事だと考えています。

    さらに、AIには企業理念や戦略などを覚えさせた方が良いという話があります。
    例えば、高価格帯のお店にむやみに商品の値引きを提案したら、ブランドを毀損し得ることをAIがわかっている必要があります。企業理念や過去のアイディアを学ばせる環境・ロジックを人が準備しておくことが重要なんですね。
    そういうことをちゃんとAIに学習させられる人がいるのかは、AIを使う時に意識しておきたいところです。

  • SENDAI INC.:やはり、人がAIを育てていかなければならないんですね。
    AIに使われるのではなく、育てていける人材こそが大事なんだなと改めて思いました。


情報とビジネス、就職活動......
仙台と東京の違い

  • SENDAI INC.:小野寺さんは今、東京と仙台を行き来しながらお仕事をされていますが、東京と仙台を比較して、どんな違いがあると思いますか。

  • 小野寺さん:仙台は東北六県の中心とはいえ、イベントや展示会、ベンチャー企業の数など、色々な要素が東京に比べると少ないですね。
    ウェブがあるとはいえ、体験や人と会って仕入れる情報のスピードが仙台はゆっくりした印象を受けますね。
    それが必ずしも悪いかというとそうではないですが、東京は、情報も体験も循環するスピードが早い感じがします。

  • SENDAI INC.:売り場作りにおいてもその差は生まれていそうですね。新商品が発売されて棚に並ぶまでのタイムラグはそこまで無いとしても、売り場の作り方やお客さんの感度には違いがありそうです。

  • 小野寺さん:そうですね。キャッシュレス決済においてもそのことを感じます。仙台では、コンビニのレジに並ぶと現金でお支払いされている方が多く、東京だと圧倒的にキャッシュレス決済の方が多い。
    東京ではキャッシュレス決済でポイントを貯めることのメリットがより浸透しているのか、仙台では、まだ現金支払いに安心感を覚える人が多いのか、価値観の違いもあるかもしれませんね。


  • SENDAI INC.:学生さんの就職活動のやり方やスピードも、東京と仙台とでは違うと思います。貴社のインターンシップなどで学生さんをご覧になっていていかがですか。

  • 小野寺さん:東京でインターンシップを行うと、成長のための機会として活用しているなという感じがありますね。
    当社にすごく向き合っているというよりかは、グループディスカッションの練習や、データ分析についての知識を入れるための機会ととらえているように見受けられます。
    仙台の学生さんの方が、うちの会社に入りたいかどうか、真摯に向き合ってくれている印象がある。インターンシップの機会も少ないからこそ、ちゃんと向き合ってくれるのかもしれません。どちらの場合も、良い悪いということはないと考えています。

  • SENDAI INC.:データ分析に興味がある学生さんにとって、業界でトップシェアを誇る貴社に仙台にいながら働けることは、素晴らしいチャンスだと思います。
    小野寺さんは大学を卒業後、東京で就職されていますが、やはり、最初は仙台を出た方が良いとお考えですか。それとも、最初から仙台就職でも良いのか、率直なご意見はいかがですか。

  • 小野寺さん:個人的には、一度は出た方が良いと思いますね。私は大学院生の頃、ドイツに留学していました。
    ドイツと聞くと格好良さそうと思うかもしれませんが、住んでみると、日曜日はスーパーが開いていないし、電車は来ないし、めちゃめちゃ寒い。僕はもう住みたくないです(笑)。
    でも、これは実際に住んだからこそわかること。一度地元を出てみないと良さもわからないので、何かを体験してきてから、また戻ってきてくれても良いと思います。

  • SENDAI INC.:全国津々浦々のデータを分析するお仕事ですから、「あ、この地域はああいう特性があったな」と考えられれば、データを複合的に見る上でも強みになりそうです。

  • 小野寺さん:おっしゃる通りです。サービスを提案する営業も、開発するエンジニアも、地元しか知らないのと、他地域も知っているのとでは全然違うと思います。

  • SENDAI INC.:仙台は、東北大学や東北学院大学など、街中に工学系の学部生が多くいます。関東に就職したり、それぞれの出身地に戻ったりする学生さんも多いイメージですが、インターンシップや採用面接に来る地元大学の学生さんはいらっしゃいますか?

  • 小野寺さん:はい。仙台だけでなく福島、山形からも来てくれています。その方たちはおそらく、地元から遠く離れた関東や関西などへ転出することには躊躇いがあるけれど、近接都市圏である仙台には出たいという気持ちがある方々だと思います。仙台本社は、自分たちのプロダクトにちゃんと向き合いたい人にとっては良い環境だと思います。
    ただ、そういうスタンスにマッチしているからこそ、担当プロダクトの変更や新規サービスへの移行に対して、若干抵抗感を持つ社員が多い印象があります。この点は、今後の課題だと感じています。


仙台に本社があるメリットと
これからの地域連携

  • SENDAI INC.:開発拠点として仙台に本社を構えていらっしゃる強みはどんなことでしょうか。

  • 小野寺さん:自社のプロダクトをしっかり持ち、全国展開しているシステム会社はそう多くはありません。
    プロダクトを開発したい方々にとっては魅力的に映ると思います。
    東北の他の県と比較しても、市内に工学部の学生が多かったり、他県から採用応募があったりと、人材獲得のチャンスは多い環境なので、この地の利を使わない手はないと考えています。


  • SENDAI INC.:全国規模のスーパーやドラッグストアを対象にデータ分析事業を展開されていますが、本社が仙台にある良さはどんなところでしょうか。

  • 小野寺さん:父が仙台で創業し、分析システムを仙台や東北の企業さんに使っていただいて、その実例を基盤として全国展開を進めてきました。本社が東京ではなく、宮城・仙台という地方にあったからこそ、周辺経済圏や行政などに支えていただけたと感じています。

    2024年からは仙台市の「仙台市地域中核輩出集中支援事業」(※仙台市内の中小企業が地域中核企業としての成長を実現するための支援を短期集中的に行う事業)を利用しており、この事業を利用している他の企業さんと「地元企業同士だからこその事例を作りたいね」と話しています。
    同じ街の企業という目に見えない心理的安全性や一体感もあるはずなので、それを生かしていきたいです。

    仙台には色々な優れた企業があって、密な関係性も築いていると思いますが、そういう企業が1〜2社だけあっても、転職などのキャリアアップを考えた時に決め手に欠けてしまうんですね。
    仙台の皆さんがプライドを持って連携してネットワークを回しだすと、街全体が活性化されて、より良い人材が来る気がしていますし、それが仙台の強さになると思っています。


日常のアルバイトの中で感じた小さな疑問や違和感。
それを学生同士で言葉にしてみるところから、この時間は始まりました。 そうした小さな声が、そのまま企業への問いにつながり、対話が生まれる。

学生のリアルな視点と、社会を支える一つの企業が同じ地平で交わることで、
この街で働くことの輪郭が少しずつ見えてきます。
仙台は、仕事と人とが自然につながっていく場所。
その積み重ねが、この街のこれからを形づくっていきます。


IT SIDE

仙台を拠点に全国へ。企業の意思決定を支える
データ分析の仕事って?【IT SIDE】

IT SIDE(前編)はこちら

PROFILE

データコム株式会社

データコム株式会社は、30年以上にわたり多店舗展開企業のパートナーとしてビジネスの現場を支えてきました。1994年の創業時から、蓄積されたデータを「確かな判断」へと変え、組織の成長を支えることを信念としています。小売業の最前線で培った知見を活かし、現在は実務に即した多角的なソリューションを展開。データの力で組織をより豊かにすることを目指し、私たちはこれからも真摯にビジネスの現場を支え、未来への変革に挑戦し続けます。

データコム株式会社

Photo:SENDAI INC.編集部
Words:奥口文結