03/05FRI

PEOPLE

仙台移住経験者に聞く、
UIJターンの実態

ある『共通点』を持つ仙台の方々に集まってもらい、居酒屋にてお酒を酌み交わしながらざっくばらんに本音で語り合っていただくこの企画・居酒屋INC。前回に引き続き、今回も「UIJターン」という共通点を持つ方々にお集まりいただきました。
昨今の事情を鑑み、今回は居酒屋INC初のオンライントーク!それぞれの自宅でおいしいお酒を楽しんでいただきつつ、仙台への移住についてあれこれと語り合います。

  • 鮫島さん:東京都出身、2019年7月に仙台へ移住。東京の制作会社に勤務した後、独立。現在はウェブデザインの会社を経営する傍ら、地域ブログ『クラシバ』を運営。

  • よしえさん:仙台市出身、東京では教育業界に従事。2019年に夫の鮫島さんと一緒に移住。現在は鮫島さんが経営する会社の社員として勤務する一方、アーティスト「Yoshie Moriuchi」としても活動する。

  • 菅家さん:福島県出身。高校卒業後に仙台市へ、その後上京しウェブ制作会社にて勤務。2019年3月にUターン移住。

  • 福井さん:仙台市出身。大学進学時に上京し、卒業後にUターン就職で住友商事東北株式会社(仙台市)へ。現在は株式会社未来企画代表取締役として高齢者向け施設「アンダンチ」を運営。

  • Shukoさん:仙台市出身、大学卒業後に上京し就職。2018年春頃、結婚を機に移住。現在はウェブ系のフリーランスとして活躍。

 

オンライン画面

オンラインで乾杯!

 

移住しようと思ったきっかけは?

――仙台への移住を意識したきっかけは?

  • 鮫島さん:東京に住んでいる時から犬を飼っていて、もう少し広い所に住みたいと常々考えていたんです。そんな時に妻が妊娠しまして。

    子育てのしやすさを考えて、妻の実家がある仙台に移住してきました。

  • 菅家さん:僕も子育てがきっかけですね。妻も宮城県出身なので、ゆくゆくは戻りたいねという話をしていて。タイミングとして、子どもが小学校に入る前にはと考えていました。

    結果的に移住に踏み切ったのが2019年の3月だったというだけで、準備はずいぶん前からしていたんです。

――菅家さん夫妻はどちらも宮城県出身だったのですね。Shukoさんはいかがですか?

  • Shukoさん:うちもそうです。夫はずっと宮城に住んでいたので、私が東京から戻ってきたという感じですね。

移住後の住まいはどうする?情報収集や決め手について

――移住後の住居の決め手は?

よしえさんと鮫島さん

よしえさんと鮫島さん

 

  • 鮫島さん:フリーランスなので自宅が職場になりますから、書斎が持てることを最優先にしました。あとは犬を飼っているので、庭付きのマンションがあればいいなと。

  • よしえさん:結果的に、東京に住んでいた時と同じ家賃で部屋の広さは3倍の物件に出会えたので、東京と比較すると良い条件の家が多いと思います。

    ただ、思ったよりペット可の賃貸物件が少なくて、探すのに苦労しました。

 

――どうやって見つけたのでしょう。

  • よしえさん:不動産屋さんが親身になって相談に乗ってくれて。結果的に、そこのおすすめで決めました。

  • 鮫島さん:ネットやSNSも見ましたが、あまりめぼしい情報は見つけられなかったですね。連休を使って仙台に来て、不動産屋のアドバイスを聞きながら実際に物件を見て回って決めました。

 

――なるほど。他の方はどのような経緯で今のお住まいに?

  • 菅家さん:ウチの場合は注文住宅を建てようと思っていて、仙台へのアクセスが良い名取市か多賀城市で探していました。

    小学校が近いか、周りに住宅は多いか、ファミリー層が多く住んでいるかなども考えましたね。

  • Shukoさん:うちは名取です。私の実家と夫の実家の間にあって、仙台へのアクセスが良い場所。且つ複数路線使えるのが決め手になりました。

――福井さんは10年以上仙台にお住まいということですが、ずっと同じ場所に住んでいるんですか?

  • 福井さん:いえ、元々は仙台駅の東口付近のマンションに住んでいました。結婚して2人目の子どもが生まれる時に家を建てました。

    マンションの時は子どもの足音がうるさいと言われたこともあったので、そういう面でのストレスは軽くなりましたね。

 

福井さん

福井さん

 

仙台の良いところは、子育てのしやすさや環境の良さ

――移住後、仙台にきて良かったことを教えてください。

  • 菅家さん:実家が車で1時間ほどなので、気軽に遊びに行ったり何かあった時に頼ったりしやすくなりました。

    あと、子どもを外で遊ばせる機会が増えましたね。子どもをのびのび育てるのには良い環境だと感じます。

  • 福井さん:うん、子育てはしやすいです。ただ、 山形や白石市などの周辺地域と比べて室内で遊べる施設が少ないかな。

  • よしえさん:大きめの公園が近場に多いので、犬の散歩や子どもを遊ばせるのに良いです。あとはやっぱり、同じ家賃で家が広くなったのが嬉しいですね。

  • 鮫島さん:車移動が中心の生活になったので、ドッグランや大型のホームセンターなどに行きやすくなりました。

    行動範囲が広がったし、それに伴って趣味の幅も広がりましたね。最近はDIYにハマってるんですよ。

都心よりもゆったり。小規模だからこその良さ

――逆に困ったことはありますか?

  • 菅家さん:困ったことは……あまりないですが、強いて言えば電車の本数が少ないこと。

    関東では時刻表なんて見なかったですが、今はちゃんとチェックして家を出るようにしてます。

    関東に比べると全体的に人が少ないですが、ただそれは施設やお店も混んでないってことでもあるので、見方を変えれば良い面でもあるかもしれません。

    あと、コミュニティやイベントの数も少ないですね。

  • 鮫島さん:仙台駅の周辺は人もいっぱいいるし、栄えてますよね。でも中心部を少し離れた商店街とかには活気がない。それが残念だなって思います。

  • 福井さん:コミュニティの小ささはデメリットでもある反面、メリットでもあって。人と繋がりやすいんですよね。

    何かしらの活動をしている人とはすぐに出会えるから、そこからいろいろな話が生まれやすい。

  • Shukoさん:皆さんおっしゃったように、仙台には「人がいないなりの良さ」がたくさんあります。混雑しない、家賃が安い、駅前周辺は都会っぽいけど少し離れると田舎っぽさも味わえる。

    中途半端ともいえるけど、良さでもある。表裏一体だと思います。

 

仙台のミガキイチゴのスパークリングとクラフトビール

仙台のクラフトビールと、ミガキイチゴのスパークリング。
おつまみは笹かまぼこです。

 

移住後のお仕事事情、どうですか?

――皆さんそれぞれ異なるフィールドで活躍されていますが、移住後のお仕事について教えてください。

  • 鮫島さん:現在はウェブデザインがメインで、クライアントの9割は東京の会社です。フリーランスになってからは基本的に自宅が仕事場なので、それほど不便は感じないですね。

――仙台のお仕事はしていない?

  • 鮫島さん:知り合いから紹介された飲食店のウェブサイトを作っています。今後はそこを足がかりに、仙台での仕事の幅も広げていきたいです。

――なぜ地域メディアの運営を始めたのでしょう。

  • 鮫島さん:移住にあたりいろんなことを調べたので、それを発信しないともったいないよね、と夫婦間で意見が一致したのがきっかけです。サイトは僕が作って、記事は妻が書いています。

  • よしえさん:ペット可の物件やカフェを紹介したくて。ペットを飼っている人たちのコミュニティになれたら素敵だなという思いもあって始めたら、今ではライフワークの1つになりました。

――菅家さんは今現在のお仕事は?

  • 菅家さん:僕はエンジニアとして、今も東京の会社に所属しています。移住の際に会社に相談したら、退職せずにリモートワークでいいよって話になりました。

    なので仙台の仕事事情にはちょっと疎いんですが、僕が上京した12~3年前に比べると仙台にもだいぶIT系企業とかが増えた印象がありますね。

    就職や転職もしやすくなっているんじゃないかな。

――福井さんのお仕事についても教えてください。

  • 福井さん:多世代複合施設「アンダンチ」を運営しています。新しい介護の形を提唱していて、高齢者住宅、訪問介護施設、保育園、飲食店、駄菓子屋などが施設内に立地しています。

――高齢者のみ、障害のある人のみという閉ざされた施設ではない、新しい介護だと。

  • 福井さん:はい。駄菓子屋は高齢者住宅の玄関口に立っていて、放課後になると近所の小学生が大勢やってきます。さらにその奥にはフリースペースがありまして、そこで子ども達がお菓子を食べたり宿題をしたりできるんです(コロナ禍の前)。

    高齢者も障害のある人も関係なく、いろいろな人が緩やかに繋がり合う場所をと考えてつくりました。

――新しいことを始めるにあたり、仙台という街はいかがでしょうか。

  • 福井さん:先ほども申しました通り、コミュニティが小さいので、少し動けばすぐ会いたい人に会えるんですよね。

    そういう意味ではやりやすいと思います。あとは多少のしがらみがあっても押し切るパワーがあれば、というところですね。

――Shukoさんはいかがでしょう。

  • Shukoさん:私も、9割が東京からの仕事です。前職との関わりではなく、個人的な知り合いやSNS上から連絡をもらうことが多いですね。

 

Shukoさん

Shukoさん

 

関東とのやり取りは、ネットやツールをフル活用!

――関東とのやり取りが多い中で、不便を感じることは?

菅家さん

菅家さん

 

  • 菅家さん:ビデオ会議時、僕だけリモートなのでみんなの話に入るタイミングがつかみにくいんです。最初の頃はそれがとくに難しかったですね。

    ただここ最近はリモートワークが広がったことで、喋りやすくなりました。

  • Shukoさん:私はあまり不便を感じません。東京にいた頃からチャットツールをメインにやり取りしていたので。

――スキルアップの機会は減りましたか?

  • Shukoさん:正直、懸念はやっぱりありますね。意識的に本を読んだりSNS上で情報収集したり、オンラインセミナーを受けたりと、可能な限りネットの力を駆使しています。

  • 鮫島さん:セミナーなんかはやっぱり少ないですから、スキルアップの面では当然東京の方がしやすいでしょうね。僕はあまり行かないので、個人的には変わりませんが(笑)。

  • よしえさん:仙台にもスキルアップできる学校や施設はたくさんありますよ。学校って学ぶ意欲が高い人が集まる素敵な環境なので、上手に活用すると良いと思います。

最後に先輩からメッセージ「考えるより行動を」

――最後に、移住を検討している人へメッセージをお願いします。

  • 鮫島さん:考えているのであれば、もう移住しちゃえばいいじゃんと思います。

    仕事のこととか、それぞれしがらみはあると思いますが、僕みたいにフリーランスで足かせもないような人なら、とりあえず行動するのがおすすめです。

  • よしえさん:夫婦2人とも住む場所にこだわりがなく、思考が似ていたのが良かった。今はどこに住んでいてもツールで繋がれるので、気になっているなら一度試してみてもいいんじゃないかな。

  • 菅家さん:だいたいなんとかなるので、移住してしまえばいいと思います。

    昔に比べてツールが整ってきていて、場所にとらわれず働いたり人とコミュニケーションを取ったりしやすくなっていますから。

    ぜひ仙台・宮城に移住して、一緒に盛り上げてくれたら嬉しいですね。

  • Shukoさん:仙台への移住を考える時点で、おそらく仙台に何らかの縁がある人だと思うんですね。

    「自分には仙台が合ってる」という感覚を持っているなら、選択肢の1つとしてアリではないでしょうか。

  • 福井さん:移住先に地縁がない場合は、その土地のイベントやコミュニティに参加して関係性を作ることから始めるのがおすすめです。

    それでフィットするようであれば、本格的に移住を検討しても良いかと。

    仙台はコンパクトで住みやすいし、海も山もあるし、東京も近い。「住」や「食」も整っている、非常にバランスの取れた良い街です。

    人生の価値観と照らし合わせてピンとくるものがあれば、仙台は良い選択肢になると思いますよ。

Words:岩崎尚美