09/24FRI
PEOPLE
仙台ならではのITコミュニティ、
いまとこれから。
enspaceからお届けする「可野の部屋」
コワーキングスペースとして、仙台市のIT業界に携わる人々が集う「enspace(エンスペース)」。ここでは、凝縮された仙台市のITコミュニティが育まれていると聞きます。その輪の仕掛け人とも言えるのが、enspaceの可野 沙織(かの・さおり)さんです。
今回は、enspaceに入居しながら、革新的な技術で成長を狙うスタートアップ起業家の3名と可野さんにお話をお伺いしました。
(左から)
LasTrust株式会社 CTO 髙橋 翔太(たかはし・しょうた)さん 株式会社funky jump 代表取締役 青木 雄太(あおき・ゆうた)さん 株式会社Co-LABO MAKER 代表 古谷 優貴(ふるや・ゆうき)さん エンスペース株式会社 コミュニティーマネージャー 可野 沙織(かの・さおり)さん
どこで働くか、よりもどこで暮らすのか。だから仙台を選んだ。
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可野さん:まずは、みなさんの共通点である「起業」について。なぜ、仙台で起業をしたのでしょうか。
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髙橋さん:大学進学で仙台へ移住したのですが、東京で大手SIer、仙台で高校の非常勤講師を経てから、システム開発企業を創業し、その後現在のスタートアップを共同創業しました。
実は会社の登記は東京でしているのですが、設立当時は社員が誰も東京にいない状況だったんです。
オンラインで仕事や打ち合わせはできるので、どこで会社を立ち上げるよりも、どんな環境で暮らしたいのかを考えました。
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古谷さん:僕も、大学進学で仙台へ。卒業後は総合化学メーカーで働いていたのですが、遊びでサービス開発のコンテストに参加したら、いくつか入賞をいただきました。
あるコンテストで最優秀賞をいただき、「これは、本気で事業化しないといけないな」と思って起業しました(笑)。 -
全員:かっこいい〜
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可野さん:なぜ仙台に戻り、起業したのですか?
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古谷さん:東北大学の教授がやっているベンチャー企業で勉強させてもらいつつ、博士号取得を目指しました。あと、奥さんの実家が仙台だったことも理由の一つです。
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青木さん:僕も大学進学を機に仙台へ来て、卒業後は大阪・東京でキャリアを積み、その後仙台に戻りました。
大学生の時に東日本大震災がありました。
当時ボランティアはしていたのですが、僕は実家の群馬に帰ることもできて安全確保ができたのに対し、そこに残って暮らすしかない人達を置いてけぼりにしたことに、少し後ろめたさを感じていたんです。
仙台や東北への想いや学生時代良くしてくれた方々へ恩返ししたいという気持ちが湧き上がって、仙台に戻って起業することを決断しました。
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可野さん:大学進学や奥様の出身地など、仙台の暮らしやすさが起業する場所のきっかけなんですね。
オンラインで繋がれるからこそ、「どこで仕事をするかよりも、どこで暮らすのか」ということが重要になりつつありますね。
リアルな交流が生まれるからこそコミュニティのハブとなる
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可野さん:enspaceへ入居した理由は何ですか?
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古谷さん:僕が起業した頃は、仙台にコワーキングスペースが少なく、enspaceはその先駆け的存在でした。そして、夜遅くまで利用できるのが嬉しいです。
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青木さん:可野さんが古谷さんを紹介してくれたのですが、それがきっかけでenspace内でお互い声をかけるようになりました。
リアルな交流ができるのが、enspaceに入居するメリットだと思います。 -
髙橋さん:すごく分かります。仕事の商談や打ち合わせではない、気軽な情報交換ができるのが良いですよね。
他の人のサービスや技術を気軽に聞けるし、提案をもらえて発見になります。 -
可野さん:そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。私も入居者さん同士の繋がりが、ビジネスの発展を生むと思っています。
仙台のITコミュニティはenspaceで繋がっている。
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可野さん:ここからは、仙台のITコミュニティについて深掘りをしていきます。仙台のITコミュニティの印象はいかがでしょうか。
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髙橋さん:僕は「はじめてのIT勉強会」や友人と主催している「WackHackSendai」など、いろいろな勉強会に参加しているのですが、人とのつながりや技術向上に役立っていますよ。
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青木さん:コミュニティというわけではありませんが、私はGLS(グローバルラボ仙台)のメンターをしながら、自社に学生をインターン採用しています。若い世代に、仙台でもITでチャレンジできることを知ってほしいです。
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古谷さん:仙台には優秀な学生さんが多いですよね。まだまだ活躍できる場が少ないので、優秀な人材が仙台で活躍できる環境やコミュニティを我々で作っていきたいです。
一歩先のことを相談したい時、どうしている?
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可野さん:GLSの授業はenspaceで開催されていて、スポンサーとしても協力させていただいてます。
入居者の方々が、地域の学生の育成やITコミュニティ作りに取り組んでくれているのは、とても嬉しいです。
では、enspaceで繋がれるITコミュニティとは何でしょうか? -
古谷さん:東京はコワーキンクスペースの数が多く点在しているので、入居者が分散しています。
仙台では選択肢が少ない分、「ITならenspace」というイメージがあるので様々なIT関連の方が集まっていると思います。
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髙橋さん:スタートアップの場合、一般的な起業と方法論が異なることが多いです。
enspaceではスタートアップも含め、様々なタイプの起業家の体験を聞くことができるので、自分のやろうとしていることにフィットした話を聞くことができると思います。
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青木さん:なかなか入居者へ声をかけられないので、繋げてくれる可野さんの存在は大きいです。まだまだ、enspaceで話してみたい人がたくさんいます。可野さんにお世話になりたいと思っています!
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可野さん:ありがとうございます。がんばります!
皆さんの話を聞いて、もっと交流イベントを開催していきたいと思いました。相談に乗ってくれる先輩がいるのは心強いこと。
仙台のITコミュニティを知りたいのなら、まずはenspaceに来てみてはいかがでしょうか。素敵な先輩がお待ちしております!
PROFILE
Co-LABO MAKER(コラボメーカー)は、「研究開発の民主化」をビジョン、「研究開発リソースが滑らかに循環する社会を科学し、発明し、実装する」をミッションに掲げ、研究開発の参入障壁を徹底的に下げ、今のITと同程度まで敷居の低いものにしていくことを目指して、研究開発リソースのシェアリングサービスを開発・運営しています。
enspaceは、2018年6月に東北6県のハブ都市である宮城県仙台市にオープンした「東北最大級のシェアオフィス・コワーキングスペース」です。「【Glocal Factory】多様な“縁”が交差するGlocal(グローカル)な世界をつくる。」をビジョンに、企業の事業成長を支援し、誰もが挑戦できる環境(ファクトリー)から東北の発展を目指します。
funky jump(ファンキージャンプ)は“みんなのおしゃべり、ビジネス活用“をテーマにコワーキングスペースを中心としたコミュニティ形成支援ツールTAISYを開発・運営しています。コミュニティ形成に運営チーム全体を巻き込み、機動的かつ戦略的なコミュニティ形成活動ができるようになります。
LasTrust(ラストラスト)は、ブロックチェーン証明書発行システム、「CloudCerts(クラウドサーツ)」で、あらゆる紙の証明書をデジタル化し、より滑らかな世界を実現することをミッションとしています。
enspace
Photo:SENDAI INC.編集部
Words:笠松宏子
※撮影時はマスクを外していただきました。