03/31MON

PEOPLE

世界で
躍進するIT企業
クオリティソフト。
ワクワクする働き方を
原動力に40周年
なぜ今、仙台へ?
【IT SIDE】

IT SIDE

この記事は、IT SIDE(前編)とSEINDAI SIDE(後編)の2部構成となっています。
IT SIDEでは、仙台支社マネージャーの橋本祐亮さんとブランディングチームの庄子信行さんに、仙台支社の役割や地域への想い、IT都市・仙台の魅力、そして地域貢献への取り組みについてお話を伺いました。
SENDAI SIDEでは、チームリーダーを務める増子武義さんとエンジニアの清野妃奈さんにお話を伺いました。

2024年に創業40周年を迎えるクオリティソフト株式会社は、SaaS型IT資産管理サービスやドローンソリューション事業を展開する企業です。本社を和歌山に構えつつ、2021年には仙台支社を設立。現在、世界55カ国・85,000社以上にサービスを提供しています。

 
その一方で、社員はオフィス内で植物を育てたり、地域のゴミ拾いをしたり。そのうえ本社はまるでリゾート施設のようで、宿泊施設や飲食店の運営も手がけるなど、ITという枠組みにとらわれず、自由で革新的な取り組みを続けています。40年の歴史を持ちながらも、柔軟な発想と挑戦を後押しする社風が、新たな価値を生み出し続ける秘訣なのかもしれません。

 
今回は、仙台支社マネージャーの橋本祐亮さんと、ブランディングチームの庄子信行さんにインタビュー。仙台支社の役割や地域への想い、IT都市・仙台の魅力、そして地域貢献への取り組みについてお話を伺いました。

翻訳業からITサービスの先駆けへ。革新を続けるクオリティソフト

庄子信行さん

 
――エンドポイントセキュリティやIT資産管理といったSaaSサービスを100%自社で開発されているとのことですが、事業内容について、もう少し噛み砕いて教えてください。

  • 庄子さん:セキュリティ対策や操作ログの記録など、安心・安全性を確保しながら、パフォーマンスを最大化できるサービスを100%自社開発しているのが私たちの特徴です。当社のソフトウェアは個人向けではなく、企業や学校などの団体向けに提供しています。

  • 橋本さん:企業や学校といった団体では、複数のパソコンを管理する必要があります。例えば、「誰がどのパソコンを使用しているのか」「インストールされているソフトウェアのバージョンは何か」などを把握しなければなりません。しかし、これを手作業で行うのは膨大な手間と時間がかかります。当社のソフトウェアを導入すれば、これらの管理を一元化し、効率的に運用することが可能になります。

  • 庄子さん:もう一つの特徴として「クラウド型」である点が挙げられます。SaaSとは、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことで、従来のようにソフトウェアをPCにインストールする必要がなく、インターネット経由で常に最新の機能を利用できるものです。お客さまがインターネットに接続すれば、当社のソフトウェアが企業のパソコンを保護し、管理すべき情報を一元管理できるようになっています。これを自社開発で提供しているのが、当社の大きな強みです。

 
クラウド型IT資産管理についての映像がモニターに表示されている

 
――導入社数が85,000社以上、世界55カ国で利用されているなど、多くの団体に支持されています。その理由はどこにあるとお考えでしょうか。

  • 庄子さん:クラウド型のセキュリティソフト市場において、当社は非常に早い段階からビジネスを展開してきました。2007年にインターネット型ビジネスを開始し、セキュリティ維持管理ツール「IT Security Manager」を発売。さらに、2010年には業界に先駆けてサブスクリプション型のサービスを開始しました。
    常に時代を先読みし、新たな取り組みを続けてきたことが、多くの企業に選ばれ続ける要因の一つだと考えています。長年にわたり市場に存在し続けていることも、安心感や信頼感につながっているのではないでしょうか。

 
――近年ではサブスクサービスが一般的になっていますが、2010年から導入していたとは驚きです。御社の歴史についても教えてください。

  • 橋本さん:当社は1984年に設立され、創業当初は翻訳業をメインに行っていました。代表の浦が海外留学の経験を活かして起業したのですが、翻訳業は次第に競争が激化し、価格競争が避けられなくなりました。利益率も低下し、「将来的な成長が見込めない」と判断したんです。そして、「これからはソフトウェアの時代だ」と考え、1998年にIT資産管理ソフトウェアベンダーの先駆けとして、ソフトウェアの自社開発に転換しました。

 
クオリティソフトの歴史がモニターに表示されている

 
――最初から次のステップへと進む決断が早かったのですね。

  • 庄子さん:そうですね。そのスピード感が、今も会社の風土として根付いていると思います。

楽しさやワクワク感を大事に!IT企業「らしからぬ」企業風土

橋本祐亮さん

 
――ほかにも、かなり特色ある企業文化が根付いていると伺っています。

  • 橋本さん:クオリティソフトでは、社員が働く場所や時間を選ぶことができる「アドレスフリー」という働き方を理想としています。最適な環境で能力を最大限に発揮できるよう、柔軟な働き方を推奨しています。

 
「アドレスフリーという働き方」の書籍の表紙

  • 庄子さん:個性を尊重した人材配置も重視しています。例えば、事務職として応募してきた社員がガーデニングの経験を持っていたため、専任のグリーン担当として社内外の緑化を担う役割を与えた例もあります。

 
――全国の拠点間で、植物の成長を競い合うプロジェクトがあるとか?

  • 庄子さん:「プラントダービー」ですね。毎年違う「課題植物」を設定し、それを一年間育てます。拠点間をWebカメラで繋いでリアルタイムで観察し合い、成長度合いや手入れの頻度、チームワークなどを総合的に評価し、最終的に優勝樹や受賞チームを決める仕組みです。

 
「プラントダービー」で観察されている植物取材時もばっちり撮影されていた

 
拠点ごとに撮影されている植物が映し出されているモニターリアルタイムで他拠点の植物の様子がチェックできる

  • 橋本さん:「Challenge48」という取り組みもあります。これは年間48時間を、ボランティア活動や他のチームの支援に充てることができる制度です。例えば、地域の清掃活動に参加するなど、社会貢献の機会を社員に提供しています。

 
ゴミ拾いに参加した社員の集合写真仙台中央地区で実施された「ポイ捨て」防止キャンペーン(アレマキャンペーン)に参加しました

 
社員2名がゴミ拾いをしている様子オフィスを出て体を動かしたり、会話したりする時間を大切にしています

 
――IT企業というと黙々とデスクワークしている印象がありますが、かなり違いますね。

  • 庄子さん:そうですね。社員間の交流促進や健康維持にもつながっています。確かに、IT企業といえばPCの前でカタカタ……というイメージが強いかもしれませんが、時には街に出て体を動かし、人と関わることで脳がリフレッシュし、新しいアイデアが生まれることもあります。プラントダービーもその一環で、楽しさやワクワク感を大事にする文化が根付いています。

地方創生への想いから和歌山へ本社移転。そして仙台支社設立へ

和歌山の本社をドローンで撮影した写真

 
――創業時は東京でしたが、本社を和歌山に移した理由は何でしょうか。

  • 橋本さん:当社は地方創生にも力を入れており、地方に雇用を生み出し、地域活性化に貢献したいと考えています。これは創業者の浦が海外留学を経験し、広大な土地でのびやかに学びを得て帰国したあと、日本では都会に人口が集中している現状に疑問を抱いたことがきっかけでした。
    日本は国土が豊かであるにもかかわらず、都会に人口が集中しているのはもったいない。地方に仕事があれば、人々はもっと分散して豊かに暮らせるはずだと考えました。そうした想いから、2001年に和歌山に開発センターを設立し、2016年には本社を和歌山県白浜町に移しました。

 
――そのタイミングで誕生したのが「INNOVATION SPRINGS」ですね。

  • 橋本さん:そうです。本社移転を機に、人々や企業が交流できるハブとして、本社と同じ敷地内に設立しました。「ここに人があつまる 新たなアイデアがあふれる」をコンセプトに、宿泊事業、食堂事業、次世代教育事業、コワーキングスペースの提供などを行っています。

  • 庄子さん:また、ITを活用した地方の課題解決にも積極的に取り組んでいます。その一例が「Majica Blanca(マジカブランカ)」という自社開発のコミュニケーションシステムによる、遠隔合同授業の実証実験です。過疎地域の小学校3校をオンラインでつなぎ、子どもたちが質の高い教育を受けられるよう、デジタル集合授業の実証実験を数回にわたり開催しました。

 
橋本さんがインタビューに応じている様子

 
――2021年10月に仙台支社を設立された経緯について教えてください。

  • 橋本さん:仙台は東北地方最大の都市であり、多くの大学や専門学校が集まる地域です。「東京までは出たくないけれど仙台なら」という声も多く、仙台で学び働きたい若者の受け皿になりたいと考えました。

  • 庄子さん:仙台はIT産業が盛んですが、自社ソリューションを開発・提供する企業の割合はまだ多くはありません。東北のエンジニアが自社開発のチャンスを得られる環境を作ることで、自社開発を志す求職者の首都圏への流出を防ぎ、地域の活性に貢献したいという思いがありました。

 
オフィス内の様子「杜とずんだ」を意識した配色のオフィス

 
――仙台の学生についてどう感じていますか?

  • 庄子さん:私たちは学校や学生との交流を大切にしており、支社ではオフィス見学を随時歓迎しています。約3年間で延べ約50名の学生にオフィスを案内するなど、学生と関わってきた経験から言えることは、スキルの面では首都圏と差を感じませんし、他の地方の方が時折おっしゃる「東北の人はシャイ」というイメージは全くの誤解だということです。
    先日訪問した専門学校の卒業研究では、学生たちは熱意を持ってプレゼンし、ターゲット設定や市場分析までしっかりと考えられていました。こちらが圧倒されるくらいで、シャイどころかものすごく活気に溢れている、というのが私の感覚です。

 
庄司さんがインタビューに応じている様子

 
――今後、仙台支社として目指すことは?

  • 橋本さん:より多くの人材を採用し、仙台をIT拠点として発展させていきたいですね。第二の「INNOVATION SPRINGS」を目指すのもおもしろそうです。

  • 庄子さん:仙台の学生に「首都圏ではなく仙台を選ぶ」理由を提供できる企業になりたいと考えています。

SENDAI SIDE

SENDAI SIDE(後編)は、4/7(月)に公開予定です。

PROFILE

クオリティソフト株式会社

クオリティソフト株式会社

INNOVATION SPRINGSで世界を豊かに―。2024年に創業40周年を迎えたクオリティソフト株式会社は、SaaS型IT資産管理ソリューションを自社開発し、世界55か国以上・85,000社へ提供しています。また、クラウド基盤の自社開発にも挑戦し、さらなる技術革新を追求中です。和歌山県白浜町に本社を構え、異業種交流や地域資源を活用した事業にも取り組み、地方創生や防災分野への貢献を目指しています。2021年にはクオリティグループ8拠点目となる仙台支社を設立し、東北で自社開発に挑戦したい求職者に新たな活躍の場を提供しています。

クオリティソフト株式会社 仙台支社

Photo:SENDAI INC.編集部
Words:岩崎尚美