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120%生かす魔法
「デザインシンキング」で
地方からイノベーションを巻き起こせ!

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最近いろいろな場所で耳にするようになった「デザインシンキング」。言葉自体は聞いたことがあっても、実際にどんなものを指すのか、いまいちピンとこない……という方も少なくないのでは? ざっくり言ってしまえば、デザイン思考を使って問題を解決するフレームワークのこと。

今回、SENDAI INC.でフォーカスしたこのデザインシンキング。2020年2月8日(土)開催のワークショップ「ビジネスを成長させる思考フレームワーク勉強会『きほんのキ』」の模様を取材してきました。

デザイン思考で問題を解決!実は身近な「デザインシンキング」

私たちの身近なところにも、デザインシンキングは有効に使われています。たとえば病院の「MRI」。子どもにとって撮影中に大きな音がするMRIは精神的にも負荷が大きく、今までは麻酔鎮静剤を投与して検査を行っていました。

そこで、MRIに塗装を施し、海賊船のように仕立てる工夫をしてみました。すると、恐怖の原因だった大きな音はワクワクする船旅の効果音に。エキサイティングな宝探しアドベンチャーへと早変わりしました。

結果的に、麻酔鎮静剤の投与率は80%から5%に激減。

このようにユーザーの見えざる課題やニーズを洗い出し、それに沿って最適なアプローチをする必要がありますよね。そこで使えるのがデザインシンキングなのです。

「サービスをどう事業化させればいいのか分からない」「このターゲットが満足できる商品を作れているか不安」など、こんな悩みをお持ちの方、必見です。

これがデザインシンキング! 大まかな流れをチェック


当日は雪が散らつくなか、30名近くの参加者が集まりました

今回講師を務めたのは、全国でデザインシンキングのワークショップを開催しているSAPジャパンの吉越輝信さん。SAPはドイツに本社を置く世界第4位のソフトウェア企業です。


デザインシンキングを全社的にいち早く取り入れた世界的企業

この日のテーマは「どうすればふたり乗りエスカレーターを、安全かつ効率的に利用できるようになるのか?」。

現状、鉄道各社がエスカレーターには2列で立ち止まって乗るように呼びかけているものの、あまり定着していません。この問題を解決する方法を、デザインシンキングを使って考えていきます。

まずは、現状のエスカレーター利用に関する“気付き”や“ひらめいたこと”などをポストイットにメモ。それをグループごとに分けてタイトルを付ける作業からスタートしました。

お次は、事前に設定されたペルソナについてディスカッションし、その人物が「なぜエスカレーターを歩行してしまうのか?」について、理解と共感を深めていきます。


ペルソナは名前や年齢、家族構成、職業などをこまかく設定。ペルソナになりきることが大事

そのためには、ペルソナの行動を時系列に書き出し、それぞれの行動に伴う感情を抽出します。ペルソナになりきることで、エスカレーター歩行の根本となっている原因を分析


常に「なぜ?」と問いかけることで、その行動に至る原因などを洗い出します

行動の原因がわかったところで、ペルソナにとっての課題を改めて定義し、エスカレーター歩行の解決方法をリストアップしていきます。


アイデアは質より量。ペルソナへの共感を忘れないことも重要です!

たくさん出たアイデアの中から、より「ペルソナにとって価値がある」と思うアイデアを選びブラッシュアップ。評判の良かった解決方法を、チームごとに発表していきます。


4コマ漫画でストーリー仕立てにし、発表。

発表後は、他チームの参加者から鋭い質問が飛び交います。

このフィードバックを元にアイデアを磨き、プロトタイプを作ってテスト——この繰り返しで、ペルソナへの理解を深めながら共感されるアイデアに近づけていく。

こうして、ユーザーが本当に求める、需要のあるアイデアが生まれるのです。

講師の吉越さんにインタビュー

今回、講師を務めた吉越さんが所属するSAPでは、10年以上も前からデザインシンキングを取り入れ、5年間で売り上げを2倍以上に伸ばしたそうです

いま、なぜデザインシンキングが必要とされているのかを、吉越さんにお聞きしました。

  • SENDAI INC.:デザインシンキングのワークショップは全国で開催されているそうですが、他地域と比べ、仙台の参加者の印象は?

  • 吉越さん:今日みたいに初対面同士のワークショップはあまりなかったのですが、すぐに打ち解けて盛り上がっているグループばかりで、とても有意義なワークショップになりました。

    エンジニア、企画、マーケティング、営業……中には学生さんなど、職業も年齢も幅広い方にご参加いただきました。

  • SENDAI INC.:ITとはかけ離れた職種でも、デザインシンキングは使えるのでしょうか?

  • 吉越さん:はい。弊社でも全職種で使っています。お客様の立場に立って共感するところから、提案や訴求、商品作りまで、デザインシンキングの手法を用いて、売り上げを伸ばしてきました。

情報化社会によってユーザーニーズが細分化

  • SENDAI INC.:なぜ、今こんなにデザインシンキングが注目されるようになったのでしょう?

  • 吉越さん:予測不能な時代になってきた、というのが大きいです。

    というのも、昔と比べて多くの方がそれぞれ好みの情報を自らリーチできるようになったことで、ユーザーのニーズも細分化するようになったのです。

    デザインシンキングでは、そのニーズを把握するためにも、まずはペルソナになりきって感情を探求するんです。

  • SENDAI INC.:誰もが普通に満足する「単純にいいもの」ではなく、さらに一歩深くターゲットに近づいたものが支持を集めているんですね。

  • 吉越さん:はい。その方にとって嬉しいもの、つまり課題を解決してくれるモノが必要とされているんです。

「デザインシンキング」×「地方」=地方発の地方創生が可能に?

  • SENDAI INC.:デザインシンキングとこれからの未来がどう交われば、さらにいい世の中になると思いますか?

  • 吉越さん:仙台もそうですが、日本はほぼ地方なんです。ほとんどの人が地方に暮らし、地方で生活している。

    なので、デザインシンキングを使って地方からどんどんイノベーションにチャレンジしていくべきだと思います。

    失敗したらまたチャレンジすればいいし、成功してもそれで終了しないで欲しい。成功事例を発信するなど、横展開して欲しいですね。

    地方発の地方創生が実現できると期待しています。

  • SENDAI INC.:日本を変えるのは東京からだけではないと

  • 吉越さん:むしろ、地方のほうがコンパクトですし課題が明確なので、チャレンジの成功率も上がりやすい環境だと思っています。

    デザインシンキングで見えざる課題を正しく抽出できれば、想像もつかなかったイノベーションを起こせるはずです。

本イベントは、「SENDAI X-TECH Innovation Project 2019-2020」というプロジェクトの第4回目として開催されました。

なんだか難しそうな名前のプロジェクトですが、開催の意図は何なのでしょうか?主催したTECH PLAYの鳴釜優子さんに、その意図や仙台のIT事情についてお聞きしました。

テクノロジーのノウハウだけでは宝の持ち腐れ!?


TECH PLAYの鳴釜さん

  • SENDAI INC.:「SENDAI X-TECH Innovation Project 2019-2020」とはどのようなプロジェクトですか?

  • 鳴釜さん:“テクノロジーの力で仙台・東北をアップデートする。”をコンセプトに、全5回のハンズオン形式で開催しているプロジェクトです。

  • SENDAI INC.:これまでの3回は、アプリ開発やUIなどテクノロジーのノウハウを身につける内容だったと伺っています。4回目で「デザインシンキング」に着目したのはなぜですか?

  • 鳴釜さん:テクノロジーのノウハウを身につけたところで、それを生かす方法、つまり事業にしてマネタイズする方法が分からなければ何も生まれないなと。

    事業化していくところまでのノウハウがないと、宝の持ち腐れになってしまいます。

    そのためにも、見えざる課題を解決するデザインシンキングについても学ぶべき。そう考えてスポットを当てました。

    なので、5回すべてに参加いただければ、ビジネス化するところまでをキャッチアップできる内容になっています。

活発なコミュニティ活動がITレベルを引き上げる、仙台のIT事情

  • SENDAI INC.:仙台はほかの都市と比べてどういう参加者が多い印象ですか?

  • 鳴釜さん:仙台に限らず地方では新しいことを勉強する意欲が高く、独自にコミュニティ活動も行うなど、常に腕を磨き続けている方が多い印象です。

  • SENDAI INC.:コミュニティ活動というと?

  • 鳴釜さん:有志で集まって新しい言語について一緒にプログラミングしたりしてるんです。

    エンジニアの場合、新しい言語がどんどん出てくるのですが、ひとりではどうしても限界がありますよね。

    効率良くソリューションにしていくためにも、コミュニティ内で情報を共有したりしているんですよ。

  • SENDAI INC.:全国的にみて仙台は多いですか?

  • 鳴釜さん:いえ、他のエリアと比べるとまだまだ活発化しているとは言えない状況です。

    なので、まずは今回みたいな無料のハンズオンに参加して仲間を増やしていく。

    そして、「こういうコミュニティがあるから参加してみたら?」みたいなかたちで横のつながりができれば、コミュニティも活発化していくと思うんですよね。


「そうなれば仙台のIT人口も増えていくはず」とのこと

  • SENDAI INC.:5回のハンズオンを通し、仙台市が今後どのように変わればいいとかありますか?

  • 鳴釜さん:まだまだ、ITやエンジニアって、ちょっと小難しいというか暗いイメージが着いてしまっていますよね。

    でも本当は、日々テクノロジーを使って新しい価値を生み出しています。もっとスポットライトが当たって、理解が深まるといいですね。

    そうして多くの人がエンジニアのカルチャーへの理解が深まれば、巻き込まれやすくもなります。

    今、仙台市がみんなを巻き込み、コミュニティを作っていこうとしています。これを続けていけば、仙台市のIT人口が増え、さらにはITのレベルも底上げされていくと思います。

  • SENDAI INC.:IT都市・仙台の明るい未来が見えますね。今日はありがとうございました!

IT先進都市として盛り上がりを見せる仙台市は、エンジニアにとって良い環境作りをしている都市であることが再確認できました。

これからエンジニアを目指す方はもちろん、すでにエンジニアとして活躍されている方も、まずはこういったハンズオンやコミュニティに参加し、新たな可能性を広げてみてはいかがでしょうか?

PROFILE

SAP

SAP は 1972 年に設立され、ドイツのワルドルフに本社を置く、世界最大のビジネスソフトウェア企業です。世界屈指の企業をお客様に持つ SAP は、常に画期的なプロジェクトを展開しています。SAP の使命は「Run Simple」を実現すること。技術面および経営面でのノウハウを生かして、世界をより良い場所にしたいと情熱を燃やしています。

TECH PLAY

TECH PLAYは、「実現したい世界のためにテクノロジーを駆使し、新たな価値を創り出す挑戦者= TECH PLAYER」を応援し、テクノロジーによる社会のアップデートを加速させていく組織です。14万人の会員に加え、過去600回以上のITセミナーの実績と様々なネットワークを持ち、テック業界から高い信頼を得ています。最近では、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援し、データとデジタル技術を活用する企業への変革を後押ししています。 TECH PLAYERの価値が高まり、志す人が増えることこそが、日本の産業全体のデジタル化を促進していくと信じ、テック人材のエンパワーメントを進めています。

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Photo:蝦名恵一
Words:幸谷亮